尖閣諸島の領有権問題
釣魚島(尖閣列島)に関する中国外交部声明
一九七一年十二月三十日付
日本佐藤政府は近年らい,歴史の事実と中国人民の激しい反対を無視し
て,中国の領土釣魚島などの島嶼(しょ)にたいして「主権をもっている」と一
再ならず主張するとともに,アメリカ帝国主義と結託してこれらの島嶼を侵
略・併呑するさまざまな活動をおこなってきた。このほど,米日両国の国会
は沖縄「返還」協定を採決した。この協定のなかで,米日両国政府は公然と
釣魚島などの島嶼をその「返還区域」に組み入れている。これは,中国の
領土と主権にたいするおおっぴらな侵犯である。これは中国人民の絶対に
容認できないものである。
米日両国政府がぐるになってデッチあげた,日本への沖縄「返還」という
ペテンは,米日の軍事結託を強め,日本軍国主義復活に拍車をかけるた
めの新しい重大な段取りである。中国政府と中国人民は一貫して,沖縄
「返還」のペテンを粉砕し,沖縄の無条件かつ全面的な復帰を要求する日
本人民の勇敢な闘争を支持するとともに,米日反動派が中国の領土釣魚
島などの島嶼を使って取引をし,中日両国人民の友好関係に水をさそうと
していることにはげしく反対してきた。
釣魚島などの島嶼は昔から中国の領土である。はやくも明代に,これらの
島嶼はすでに中国の海上防衛区域のなかに含まれており,それは琉球,
つまりいまの沖縄に属するものではなくて,中国の台湾の付属島嶼であっ
た。中国と琉球とのこの地区における境界線は,赤尾嶼と久米島とのあい
だにある。中国の台湾の漁民は従来から釣魚島などの島嶼で生産活動に
たずさわってきた。日本政府は中日甲午戦争を通じて,これらの島嶼をか
すめとり,さらに当時の清朝政府に圧力をかけて一八九五年四月,「台湾と
そのすべての付属島嶼」および澎湖列島の割譲という不平等条約−「馬関
条約」に調印させた。こんにち,佐藤政府はなんと,かつて中国の領土を略
奪した日本侵略者の侵略行動を,釣魚島などの島嶼にたいして「主権をも
っている」ことの根拠にしているが,これは,まったくむきだしの強盗の論理
である。
第二次世界大戦ののち,日本政府は不法にも,台湾の付属島嶼である
釣魚島などの島嶼をアメリカに渡し,アメリカ政府はこれらの島嶼にたいし
ていわゆる「施政権」をもっていると一方的に宣言した。これは,もともと不
法なものである。中華人民共和国の成立後まもなく,一九五◯年六月二十
八日,周恩来外交部長は中国政府を代表して,アメリカ帝国主義が第七艦
隊を派遣して台湾と台湾海峡を侵略したことをはげしく糾弾し,「台湾と中国
に属するすべての領土の回復」をめざす中国人民の決意についておごそ
かな声明をおこなった。いま,米日両国政府はなんと不法にも,ふたたびわ
が国の釣魚島など島嶼の授受をおこなっている。中国の領土と主権にたい
するこのような侵犯行為は,中国人民のこのうえない憤激をひきおこさずに
はおかないであろう。
中華人民共和国外交部は,おごそかにつぎのように声明するものである
−釣魚島,黄尾嶼,赤尾嶼,南小島,北小島などの島嶼は台湾の付属島
嶼である。これらの島嶼は台湾と同様,昔から中国領土の不可分の一部で
ある。米日両国政府が沖縄「返還」協定のなかで,わが国の釣魚島などの
島嶼を「返還区域」に組み入れることは,まったく不法なものであり,それ
は,釣魚島などの島嶼にたいする中華人民共和国の領土の主権をいささ
かも変えうるものではないのである,と。中国人民はかならず台湾を解放す
る! 中国人民はかならず釣魚島など台湾に付属する島嶼をも回復する!
以上は、『北京周報』一九七二年第1号に掲載された、
一九七一年十二月三十日付「中華人民共和国外交部の声明」(『北京周報』一九七二年
第1号)と、
北京周報編集部の『釣魚島などの島嶼は昔から中国の領土である』の全文。
これらは
外務省中国課監修「日中関係基本資料集」所収「北京周報」10巻1号
高橋庄五郎著「尖閣列島ノート」(青年出版社)94頁〜98頁
現代中国ライブラリ(Webサイト:http://www10.ocn.ne.jp/~sunmoon/data/chougyotou.
htm)の「釣魚島(尖閣列島)に関する中国外交部声明 (1971年12月30日)」 chn『中
国人民は必ず釣魚島など台湾の付属島嶼を取り戻す』
「日中関係資料集」データベース「世界と日本」 (東京大学東洋文化研究所田中明彦研
究室)
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/indices/JPCH/
が掲載している。
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