尖閣諸島の領有権問題



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桜井よし子ブログより

櫻井よし子  中国を語る (仮題)


01 『週刊新潮』 '05年6月30日
02 『週刊新潮』 '05年6月23日
03 『週刊ダイヤモンド』  2005 年4月2日号
04 『週刊ダイヤモンド』  2005 年6月18日号
05 『週刊ダイヤモンド』  2005 年4月2日号
06 『週刊新潮』 '05年5月5・12
07 『週刊ダイヤモンド』     2005年4月30日、5月7日号
08 『週刊新潮』 '05年4月28日
09 『週刊新潮』 '04年12月30 日、'05号1月6日号
10
『週刊新潮』 '05年1月13日
11 『週刊ダイヤモンド』  2004 年11月27日号
12 『週刊新潮』 2004年10月28 日号







(01)
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 『尖閣』のために沖縄『下地島空港』が必要だ
ikeda 17:21 コメントする カテゴリー:領土・領海・ガス田 

『週刊新潮』 '05年6月30日号
日本ルネッサンス 拡大版 第171回


沖縄といえば、基地の街、反戦反基地の印象が強い。しかし、その沖縄でいま、微妙な
変化が生じつつある。基地の過重負担は絶対に受け容れられないが、国際社会に生れ
た新しい潮流をとらえ、沖縄の将来展望を描きたいという意識である。政府が合理的な
国防計画を示し、日米両国の在沖縄軍事力が総体として減少するのなら、沖縄は自衛
隊の駐屯をより大きな規模で受け容れることも可能とする考えだ。後に詳述する下地島
空港への自衛隊の駐留も前向きに考えられるというのだ。

だが、昨年12月、稲嶺惠一知事は、私の取材に対し、下地島の自衛隊使用は「絶対に
反対です」と明言した。沖縄県の真意ははたしてどこにあるのか。方針転換はなされたの
か。方針が変わったとすれば、それはなぜなのか。また、下地島空港の活用は、東シナ
海で増大する中国の脅威に対してどのような戦略上の意味を持つのか。6月上旬、改め
て沖縄を訪ね、下地島を見てきた。

沖縄本島から南西に300キロ、20分余り飛ぶと宮古(みやこ)島がある。同島から北西に
4キロ、フェリーで15分の所に伊良部(いらぶ)島がある。

伊良部島は下地島と隣接しており、2つの島が伊良部町を構成する。人口6,800人余の、
美しいこの町が注目を集めるのは、下地島空港にある3,000メートルの滑走路だ。

小さな町には不釣合な程立派な滑走路は、79年に完成した。軍事利用を嫌う沖縄県の
強い反対で、民間目的以外には使用しないとの覚え書きが国と交わされ、日本唯一の民
間航空パイロットの訓練飛行場となった。が、パイロットの訓練にはコンピュータによるシ
ミュレーションが導入され、下地島の滑走路はその利用価値を低下させてきた。訪れた
日、滑走路には人影もなく、静まりかえっていた。

下地島とは目と鼻の距離にある尖閣諸島周辺海域には、今年1月、中国海軍の最新鋭
ソブレメンヌイ級のミサイル駆逐艦が遊弋(ゆうよく)した。6月21日には台湾もフリゲート
鑑「鳳陽」を派遣した。尖閣諸島海域の資源をめぐって日台中3カ国の緊張は、いまこの
瞬間も続いている。

緊張の海を眼前にする下地島の安全保障上の価値をどう判断すべきか。政府関係者は
意外なことを述べた。

「下地島は沖縄本島から300キロ離れており、米海兵隊のCN46ヘリは航続距離が250キ
ロ程です。辿りつけない。したがって在日米軍も米空軍もあまり興味をもっていない。日
本の海自にとってはP3C哨戒機の中継基地としての価値がありますが、戦術的には必ず
しも、ベストではありません」

一方、同島の重要性を軽視してはならないと説くのは、杏林大学総合政策学部教授の平
松茂雄氏だ。
「沖縄から尖閣諸島への距離と中国・福建省から尖閣諸島への距離は大体400キロで 同じですが、現状は圧倒的に日本不利です。那覇の自衛隊に配備されているのはF4フ ァントム、中国はスホーイ(SU)27戦闘機やSU37戦闘機を配備しています。日本のF4戦 闘機は尖閣諸島まで飛べるけれど、わずかな時間しか滞空出来ない。中国の戦闘機は 十分に尖閣諸島を制空出来る能力があります」
「尖閣諸島に最も近い所に基地をもつのは台湾である。石垣島─尖閣諸島間の距離は 台湾─尖閣諸島間とほぼ同じだ。日本にとって石垣島に航空自衛隊の基地を設けるの が、領土領海を守るためには最善だが、それが無理なら下地島の空港の活用でかなり 有利な立場に立てる」
と平松教授は指摘した。

下地島空港への評価は人によって異なっても、同島の地理的位置が日本の領土保全に
有用であるのは間違いない。また、当の下地島、伊良部町にとっては、死活的な意味が
ある。



以下は「尖閣諸島の領有権問題」管理者の挿入した地図と写真である。


図※1下地島の位置を知ってもらうために尖閣諸島位置図を参考にして頂きたい。
下地島は宮古島の左となり、伊良部島に接した様にくっついた島である。(下図※2参
照)





図※2  http://www.ritou.com/miyako/irabushimoji.shtml






※写真3 これが問題になっている3000メートルの下地島空港である。



続き


失われた国としての視点

現在同空港では年間約1,000時間の飛行訓練が行われているが、日数に換算すると約
100日から150日の利用となる。つまり年に200日は利用されていないのだ。伊良部町に
は約3億円の赤字があり、財政は厳しい。経済振興策が必要で空港活用には大きな意
味がある。こうして自衛隊誘致の動きが生れてきたのだ。

しかし、町議会で展開された自衛隊誘致の動きは結果として頓挫した。顛末を今年5月
25日「消えた自衛隊誘致 小さな島の選択」という番組で琉球放送が報じた。話を統合す
ると、小さな町の大きな混乱は3月16日の伊良部町議会で表面化した。下地島空港への
自衛隊誘致の決議案が9対8で可決されたのだ。その2日後、同町議会は再び、進行して
いた宮古地域6市町村の合併協議からの離脱を決議、可決した。民間企業の誘致が難
しいなかで、彼らは自衛隊誘致による町の経済発展に賭けたといえる。合併すれば他の
自治体の反対で、自衛隊誘致が難しくなると判断したのだ。

ところが、一連の動きは住民への十分な説明なしに行われた。反対派の住民の怒りは大
きく、3月24日、町民集会が開かれた。琉球放送は住民6,800人余の半分以上の3,500人
が集まったと伝えている。集会には18人の町議全員が参加したが、自衛隊誘致に動い
た町議らが糾弾された。彼らは、全ては島の安全と町の財政安定のためであると訴え
た。災害時には自衛隊は命がけで救助活動をやってきた、伊良部町は自衛隊反対の気
持は強くはない、むしろ誘致によって振興策が期待されると説明した。

だが、住民らは納得せず、遂に、自衛隊誘致も、市町村合併離脱も、白紙撤回するとの
結論が打ち出された。

地元の琉球放送は、一連の動きの背景に本土勢力が存在すると伝えたが、自衛隊誘致
の試みはそれだけでは説明出来ない。事情は複雑なのだ。たとえば、伊良部町の浜川
健町長は、4年前、自ら自衛隊誘致を国に要請した人物だ。町議会は当時全会一致で
誘致を要請した。だが国は動かず、要請は宙に浮いたまま4年がすぎ、町長もすでに反
対の立場に変わった。

振興策と基地問題が複雑に絡み合い、その時々の状況で人々の考えも立場も変わると
見なければならない。そして何よりも沖縄には基地の重い負担を引き受けてきた歴史が
ある。その負担が心に刻まれている。今、伊良部町に行ってみると、市町村合併に伴っ
て行われる10月1日の首長選挙で話題はもちきりである。テーマは財政であり、振興策で
ある。東シナ海、日本の領土領海の安全に関して重要な意味をもつ下地島空港の問題
は、伊良部町の手を離れ、市町村合併の結果生まれる新自治体の課題となるかに見え
る。

沖縄県副知事の牧野浩隆氏は、下地島空港の一件は、ひとり伊良部町だけの問題では
あり得ず沖縄県の問題だと明言する。

「いま、米国の戦略が変わりつつあります。米軍再編は、沖縄駐留の米軍の規模の縮小
につながります。我々は日米安保に反対でも、基地の過重負担を問題にしているので
す。だから自衛隊と米軍の軍事力が総体で減っていくことが重要です。米軍削減のあと
を自衛隊が補完し、結果として軍事基地の規模が縮小していくのであれば、理解出来ま
す」

閑話休題
 私には牧野浩隆副知事の話しは理解できない。
 「下地島空港の一件は、ひとり伊良部町だけの問題ではあり得ず沖縄県の
問題だ」と明言するならば、それは当然、「沖縄の基地問題は一沖縄県だけの
問題ではない。日本国全体の問題である」ということであり、沖縄県と牧野浩
隆副知事は沖縄の基地問題に対し、日本国全体の運営と安全保障を踏まえ
た上での県の政策を決めなければならぬと言うことである。
 だが、沖縄県政のあり方はそうではあるまい。反戦と日米安保の反対から、
沖縄の加重負担を捉えているのであり、日本国と日本国民全体の安全保障を
考えての基地政策ではない。また尖閣諸島に対する政策は無いに等しいでは
ないか。
 尖閣諸島は日本国民のものである。何より沖縄県民のものである。これに対
する政策は為さぬ、自らの県の土地を守ろうとしない人間が、「下地島空港の
一件は、ひとり伊良部町だけの問題ではあり得ず沖縄県の問題だ」というのは
単なる下地島空港の自衛隊使用に反対するための言いがかりに過ぎぬ。そ
れが間違いというなら、では尖閣をどうやって守るのか聞かせて頂きたいもの
である。
 軍事力によるのではなく話し合いで、偉大なるトウ小平の先送り論に従い、
未来に任せようとでも言うのだろうか。沖縄のマスコミはトウ小平の知恵に学
ぼうという論調だが、トウ小平はその様な人間ではないし、中国はそんな甘い
国ではない。トウ小平が健在な時から政府も解放軍も尖閣諸島を自分たちの
領土以外だと認めたことはないし、そもそもトウ小平の先送り論は中国の時間
稼ぎと言うべきである。現実にそうなったではないか。中国は30年の時間を最
も有効に使い、日本は最も愚に使った。沖縄県も同じであった。そして今、尖
閣諸島は中国の力の前に風前の灯火になり、それでも尚かつ沖縄県は対応
処置を何もとっていない。沖縄には中国の実像が見えていないのである。この
原因は反戦というイデオロギーから生じるところのもので、この反戦即ち平和
という図式がイデオロギーにより作られた洗脳思想であることに気が付かぬ限
り沖縄に平和は訪れない。
 この私の考えに反論は幾らでもあるだろう。だが、誰がどう言おうとそれは事
実である。「それでも、地球は丸い」のである。事実を直視できないならば平和
は実現できない。したくてもできないのである。そこには平和を実現する能力が
欠けているからである。何故ならこの世は相対的社会であるから、絶対的平
和というものは存在し得ないからである。もし存在するなら独裁社会・洗脳社
会以外にない。だから私は反戦平和はイデオロギーであると断じているのだ。
 このままでは尖閣諸島の略奪という事態を迎えても、沖縄は反戦平和を目指
し中国と話し合いで解決するとでもうそぶくのであろう。言葉ではなく、行動か
ら彼らの意図を明確に掴むことから平和の端緒は始まる。中国には沖縄領有
論すらある現実から目を離して沖縄の県政も平和も成立しない。
(文:管理人)




イデオロギーの呪縛

    県の政策参与、比嘉良彦氏も語った。

「米軍再編を支える合理主義を日本もとりいれればよいのです。一番よいのは、7年とか
10年の単位で米軍を自衛隊に置きかえることです。我々は日米安保を否定しません。米
軍には有時に展開してもらう有事駐留でよいのではないかと考えます」

日米安保条約に反対しないとは言いながら、事実上の日米安保条約否定論ともとれる。
少なくとも、そのように解釈されかねない。それはまた、日本の軍事力の飛躍的な増強に
もつながりかねない。

この考えが、ただの観測気球ではないことは5月11日の稲嶺惠一知事の講演からも窺え
る。知事は後援会主催の「県政フォーラム」で米軍再編に関する協議は第二段階を迎え
ていること、自衛隊と米軍の組み合わせの中で米軍削減に伴って自衛隊による肩代わり
の論議が浮上すると公の席で語ったのだ。

比嘉参与が説明した。

「これまでの沖縄の議論は全て後ろ向きの色彩を帯びざるを得ませんでした。自衛隊や
基地についての前向きの考えはありません」

どれ程本音で語っても、基地についての沖縄の人々の前向きな考えは、暗黙の了解をも
って表現されるところでとどまる“基地はいいよ”とはどうしても言えない状況が続いてき
た。

だが、事情は変わったというのだ。牧野副知事が補った。

「たとえば下地島です。政府との合意では、同空港の使い方は“沖縄県が決める”となっ
ています。県民の総意としての決断を知事が下す。地域の発展に本当に資すると判断す
れば、県がそのように決めればよいだけなのです」



     牧野副知事はこうも語る。

「イデオロギー抜きならば、下地島の飛行場は普天間の現状より安全です。伊良部島が
あり、そこから突き出た下地島は、ずっと安全なはずです」

下地島は海の中に突き出た島である上に、住民はいない。下地島の土地は全て沖縄県
の所有であり、伊良部町の住民は本土から行った空港施設関係者らごく一部を除き、全
員伊良部島に住んでいる。イデオロギー抜きで考えれば、下地島は宜野湾のまん中に基
地を擁し続けるよりはるかに安全で合理的だとわかる。だからこそ、比嘉参与は、10月
に予定されている下地島を含む同地域の選挙では、下地島空港問題を沖縄全体の安全
保障の一部と位置づけて住民に問うことが大事だと言う。比嘉参与が強調した。

「イデオロギーに縛られている限り、下地島空港に自衛隊を誘致することや、それによっ
て日米安保全体を沖縄も受け容れやすくなるなどという政策を公約には出来ない。そん
なことを言えば選挙に負けると一般的に思いこんでいるのです。

しかし、選挙故にこの問題をタブーにして、選挙後に自衛隊誘致をまた持ち出したりすれ
ば、それこそ住民への裏切りです。必要ならば、大きなビジョンの中で、真正面からこの
問題を政策で問うていく決意が必要です」

問題は、いかにしてイデオロギーを乗り越えるかである。沖縄県民のイデオロギーの問題
のみならず、政府と沖縄県が相互の信頼をどう築いていくかである。





今、選択すべきは何か

稲嶺知事に対する政府の信頼はどうみても厚いとは言えない。むしろ、普天間の基地を
沖縄本島北部の辺野古に移転するとの公約を掲げて選挙を戦い、知事に当選したにも
かかわらず、現在に至るまで、移転は行われていない。その間、政府は、移転の見返り
の意味をこめて、他の県に対するよりも沖縄の産業振興に力を尽した。にもかかわらず、
事態は動いていないという思いがある。

このような見方は、政府のみならず、先述の稲嶺氏の後援会が主催した知事の講演会
でも質問の形で表現された。稲嶺氏を支えているはずの後援会のメンバーでさえ次のよ
うに激しく問うたのた。

「(基地の)辺野古移転をやるということで県民の信任を受けたわけですからどうあろう
と、進める方向の方がよい」。さらにこの人物は、移転を進めてこなかった知事に対し、
「君子は偽りの言葉なし、論言汗の如し」などと、迫っている。

6年前、沖縄は普天間の県内移転を軍民共用等を前提に受け容れた。今、100社を超え
る企業が誘致された。無論、経済が全てではないが、基地とのバランスを保つことによっ
て経済を発展させてきたことも事実である。経済の安定から沖縄の安定が生まれること
を政府は理解しなければならないが、沖縄に対しては、より根源的な説明が必要だ。



内閣府関係者が語る。

「米軍再編によって、在日米軍の規模が縮小されることもあります。しかし、私たちは中
国、北朝鮮の脅威を軽視するわけにはいきません。在韓米軍の一部兵力削減や司令部
機構を38度線の後方に移すことは、朝鮮半島での米軍の力が、若干弱まることを意味し
ます。加えて、最近顕著になってきた中国の覇権国家的な行動に、米国は敏感です。中
国を念頭に置けば、沖縄米軍基地を縮小するにしても、抑止力は強化しなければならな
い。沖縄の重要性は高いのです」

小泉首相は、基地問題を日本全体で負担する方策を考えると述べた。日本と沖縄の安
全保障のために、その言葉の実行が必要だ。

だからこそ下地島や伊良部町で展開される混乱を、政府は軽視してはならないのだ。沖
縄の振興をはかりつつ、沖縄ひとりに基地を負担させる状況を改める行動が必要だ。混
乱は政府の国防政策の欠如から生まれているからだ。日本が問題を放置してきた間に
中国は軍事力を増強した。台湾海峡の軍事バランスが中国有利に傾くのは早ければ
2010年と見られている。近い将来、東シナ海の軍事バランスが劇的に変わる可能性は
極めて高い。政府は、米軍再編の波を捉え、日米安保が真に効率的に機能する体制を
築かなければならない。下地島への自衛隊の展開は、日本の安全保障を総合的に構築
する第一歩だ。日米安保の全体像のなかでの下地島の位置づけを明確に示すことが出
来て、はじめて下地島の自衛隊配備がまともに議論されるだろう。













(02)
[特別対談]中川昭一 vs 櫻井よしこ   
中国の『東シナ海』身勝手主張は通用しない
ikeda 10:53 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊新潮』 '05年6月23日号
日本ルネッサンス 拡大版 第170回
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櫻井 お忙しいなか、今日はありがとうございます。

中川 こちらこそ。

櫻井 まず日中関係、とくに中国側の姿勢をどう見ておられるか、お伺いします。

中川 あえて中国側に立って考えますとね、日本って邪魔な存在なんですよ。地理的に
みると、大陸国家・中国が海に出る時に、日本がフェンスのようにべた〜っと細長く、北
は宗谷海峡から南は対馬海峡まで張り付いている。全て日本の横を通らなければならな
い。
もう一つは、経済格差。世界第2位の経済大国となった日本に対し、中国はこれからとい
う段階で、国がまとまるべき時なのに、今の中国は共産主義と独裁を維持し、50余の多
民族、多文化、独立志向地域を抱えている。胡錦涛政権もさぞ苦労してると思います。だ
から、最近で言えば、デモ、暴動だとか…。

櫻井 凄まじい反日ですね。

中川 ええ。呉儀副首相のドタキャンなど、世界の失笑を買うことをせざるを得ない状況
にあるんだろうなと私は想像するんですね。

櫻井 同情しておられますか。

中川 だからといって、経済産業省の所管であるエネルギーや、排他的経済水域
(EEZ)、沖ノ鳥島等の諸問題、あるいは日本人、日本企業に危険を及ぼすことに対する
中国の対応は、仕方ないでは済まない。主権国家として我々がしっかりしないと。国際的
な問題なのですからね。

櫻井 国内問題の不満を日本に振り向け、日本を憎ませることで、中国共産党に対する
国民の不満を発散させるのが中国政府の戦略です。日本を不満解消のダシに使う政策
ですね。

中川 国内統治の困難を、外交問題に逸らすことで現政権への不満をかわすのは、政治
のオペレーションの鉄則のひとつです。中国は戦後ずっと、その捌け口を日本に求め、そ
れを日本が甘受してきたことがまさに問題だった。ようやく、政治家で言えば安倍晋三さ
んたちが発言し始めた…。

櫻井 その中には当然、中川さんも入りますね。

中川 そう見ていただくのは、日本の政治家としては当然であり、ありがたいことだと思い
ます。

櫻井 中川大臣はじめ、複数の政治家の発言もあって、この頃ようやく、日本は国益を守
るため、発言にも筋を通さなければならないという空気が出てきました。中国は日本批判
の最も効果的なカードは歴史問題だと心得ていて、その時々で取り上げるテーマは変わ
るのですが、今は明らかに靖国です。大臣は靖国参拝についてどう思われますか。

中川 私はいま、東シナ海、あるいは通商問題を抱えているので、正直言って大臣就任
以降は、靖国についてあまり発言をしていないんです。ただ、私は農林大臣の時も、今の
ポストに就いていた昨年も、8月15日には行っております。

櫻井 靖国問題については中国の姿勢は全く一貫していませんね。A級戦犯と言われる
人たちが合祀されたのは78年秋、それが新聞に報道されたのが79年の春の例大祭の
時でした。当時の大平正芳首相は、記者に質問されて、「(参拝を)人がどう見るか、私の
気持で行くのだから批判はその人に任せる」と答えています。国会での質問にもきちんと
答えた上で参拝しました。鈴木善幸氏は、合計9回靖国に参拝したけれど、中国は一言
も抗議しなかった。中曽根康弘首相の時も、最初は全く抗議せず、85年になって初めて
「問題だ」と言い始めたわけです。
合祀された78、79年当時、中国はケ小平の改革開放路線へ転換、その維持にお金が必
要だった。78年の日中平和友好条約締結を機に、現在に至るまで実に3兆3,000億円を
超える日本のODAが中国に流れた。また、79年1月1日にはアメリカと国交を樹立しまし
た。つまり、当時の中国の最大の敵はソ連で、ソ連に対抗するためにアメリカと組み、日
本と組んだ。だからこそ当時、靖国は全然問題にしなかったのです。
それが今は、「中国人の心が痛む」と言うのですから、78年から84年までは心が痛まな
かったわけです。


中国の独善に動揺するな

中川 とはいえ、日本もそこを突かれると弱かった。先日、後藤田正晴さんがテレビのイ
ンタビューで、「事の本質は合祀にある」と仰っていました。でも、ちょっと考えてみてくだ
さい。櫻井さんの仰る通り、A級戦犯の合祀は78年。中曽根さんが総理になったのが82
年11月です。中曽根さんの公式参拝は、官房長官である後藤田さんが進言して辞めさせ
たと言うけれど、それなら中国に指摘される85年以前に進言すべきではなかったのか。
それを他人事のように本質は合祀だなんて言っている。

やっぱり中国であろうがアメリカであろうが、外交というのは弱いところを突いてくるものな
んですよ。

櫻井 当然ですね。どの国も国益を守るために様々な論を組み立て、方法や手段を考え
る。外交は武力を使わない戦争だと言われますが、日本外交にはその厳しさが欠けてい
る。まるでご近所とのお付き合い程度の認識ではないでしょうか。

中川 ちょっと押してみたら、思わぬ反応を日本側がしている。これは使えるぞと思った
んじゃないですかね。私が中国の政治家だったら、当然そう思いますよ。
思う相手が悪いのではなくて、こっちが悪い。

もちろん後藤田さんほどの方ですから、それなりの論理があるのでしょう。そういえば、あ
の方と昔、自民党の党則改正の時に大議論をやって、「君たちは戦争を知らないから」と
一喝されたことがありました。

櫻井 人は知っているからといって、正しい結論を出せるとは限らないです。

中川 いえ、こちらがもっと失礼なこと言っちゃいましてね。「そういう戦争を知っている人
たちがいつまでもいるとは限らないから議論しているんです」と。ちょっと言い過ぎかなと
思って、後で謝りましたけど。

ともかく、打てば響いてしまう。そうした日本の反応が相手にとって既成事実になってしま
のですから。

櫻井 日本外交は国家の基盤を忽(ゆるが)せにするほど、愚直に過ぎます。


実効支配はお手のもの

中川 靖国問題と同様に、もともと中国は東シナ海にも関心はなかった。尖閣は日本の
固有の領土だということは、国際的にも中国もずっと認めていたわけです。
ところが70年代、80年代になって、ケ小平は経済に力を入れてきた。あれだけの国を発
展させるためには相当のエネルギーと、通商国家としてシーレーン(海上交通路)も必要
となった。

櫻井 まず、中国は南シナ海に向かいましたね。

中川 東南アジア諸国と領有権を争っている西沙諸島や南沙諸島を軍事基地化してしま
いました。現在は、ミャンマー領であるココ島に海軍基地を作っています。

東シナ海に石油、天然ガスが豊富にあるらしいことは、68年の国連アジア極東経済委員
会の学術調査で報告されました。中国が尖閣の領有権を主張し始めたのはその後で
す。中国は、とにかくエネルギーをひたすらかき集める。東シナ海は上海に一番近い地域
ですから、中国にとって理想の場所にあります。中国の山奥の大慶油田や中東から運ん
でくるより、よっぽど近いわけです。

櫻井 目前の海にパイプを通せばいいだけですからね。
とはいえ、中国が言い出した共同開発案では、中国側のEEZ内は中国のみが開発、日
本側のEEZ内は日中で共同開発するという身勝手な内容でした。国際社会の常識から
見て、全く通用しない主張を押し通そうとするのが中国です。日中協議でも譲る気配は全
然なかったわけですね。

中川 譲る気配はないですね。すでにフィリピン、ベトナムに対しては同様のことをやって
既成事実化してしまったわけです。中国のやり方は、話し合いをしている間に実効支配
するというものでしょう。この8月にも春暁から大陸に天然ガスを送り始めるかもしれない
作業を日に日に進めている中、「共同開発しましょう」と言われても到底受け入れられな
い。そこまで日本もお人好しではない。

櫻井 天外天油田の櫓も、驚くほど出来上がっていますね。パイプの敷設もほぼ完了し
て、10月から操業すると中国海洋石油の趙利国法律部長が発表済みです。一方、日本
側はようやく調査を終えて、民間企業に試掘権を与えるという段階です。

中川 日本は国際海洋法、国際裁判の判例に基づいて、今後も試掘権の許可へと作業を
進めます。法治国家ですからね。中国に対しては、お互いが主張しているEEZが重なり合
う部分を中間で分けましょうと言っているわけですけど。

櫻井 この主張に関しても、日本側はすでに中国側に十分過ぎるほど配慮というか譲歩
しているわけです。

中川 お互いに譲った上での中間線ですから。中国はいまだに沖縄トラフまで大陸棚自
然延長論を採って、相手を一切配慮せずという姿勢です。だから我々は着々と、日本の
EEZ内でやるべき作業をやります。68年の調査から37年間、試掘の許可を待っている会
社があるわけですからね。

櫻井 そうした会社のひとつ、帝国石油の方に話を聞いたのですが、これまで中国側か
ら共同開発の話を持ちかけられたことがあるそうです。しかし、日本の国益に合わないこ
とはやらないと筋を通してきた。こんな立派な民間企業もある。そうした企業に当然の権
利として早く試掘権を認めることが大切だと思います。

中川 国際法上も、日中平和友好条約、共同宣言、その他の日中間の合意にも則った
形で、粛々と国内作業をやっているところです。決して暴挙ではないと、私は思うのです
が、ただ、一般の国民の皆さんの支持がないと作業は進めにくい。

櫻井 暴挙だと言う人がいるのですか。

中川 暴挙とまでは言っていませんけど、試掘権を与えることを検討と発表しただけで、
「慎重に、相手を刺激しないで」と“助言”してくれる官民の人たちがいないわけではあり
ません。

櫻井 不必要に相手を刺激しないことは大事です。けれど、そもそもこのケースで“相手
を刺激”しているのは、中国ですからね。

中川 そうなんですよ。日本は、国際法と常識の範囲内でやるべきことをやっていきま
す。

櫻井 日中関係の現状を、アメリカの『ウォールストリート・ジャーナル』紙が社説で、中国
が横柄である、日本はちゃんと分を守っている、と書きました。これまで欧米の新聞は、
日中問題において中国に同情的な視点を置くことがままありました。が、今回彼らは非常
にはっきりと、戦後日本は非常に模範的で優良、優秀な国家として振る舞ってきた、今回
の一連の日中摩擦で歴史を見直さなければならないのは中国の方ではないか、という論
調が本当に多く出てきました
だから、私は中川さんが東シナ海で進めようとしている対処の仕方。控え目ではあるけ
れども、しっかりとポイントを押さえた主張は、国際社会の共感を呼ぶと思います。

中川 ただ、日本の一部のマスコミの論調はおかしいですね。中国を気遣ながら、アメリ
カのマスコミや国内世論を見た上で、どうも様子がおかしい、ストレートに日本政府側の
姿勢だけを非難するわけにはいかない様子だと。すると、社説などで「よく相手と話し合っ
て、友好の島、友好の海域にするように政府は努力すべきである」と主張するのです。ち
ょうど、拉致問題のときに同じ主張です。

櫻井 “拉致はけしからん。でもよく話し合おう”と。

中川 普段は日本がけしからんとかさにかかって書いてくるくせにね。ああいう書き方
は、都合が悪くなったときの定番ですよ。ごく一部のマスコミの。

櫻井 朝日新聞ですね。

中川 いやいや、それは私は言ってないですよ。

櫻井 ハッハッハ。

中川 拉致のときも、今回の東シナ海も、困ったときにはよく話し合おうという社説は、例
えて言うと、悪役レスラーが力道山にやられそうになると、ちょっと待った待ったと言って、
スキを見せるとゴゴゴンと反則技をやるようなものです。社説の次元にも達しない論調
を、一流と言われる新聞が社説に書くなんてねえ。




中国に毅然と臨め

櫻井 国民はかなりその辺をわかってきていますね。日本人は歴史的に中国に大変な憧
れを持ってきましたが、現代中国は私たちの憧れてきた中国とは全く違う国だと多くの人
が感じている。それどころか、実は凄く日本嫌いで、それが教育のせいであることもわか
り始めた。中国の主張は国際法も無視した不法な主張ではないかという認識は、永田町
よりも、むしろ国民の方が強く感じている。
その中で、日本の財界は圧倒的に、話し合い路線が多いようです。このことは大臣に心
理的な影響を与えますか。

中川 全く与えませんね。財界は許認可や監督権限を持っているわけでもない。また、こ
ちらも財界に対して、負い目があるわけでもない。むしろ経営者は業績を上げなきゃいけ
ない状況にあるから困っているだろうと思います。中国はマーケット、工場として、平穏で
あれば、これほど魅力的な所はないわけですから。

櫻井 今後、日本企業が東シナ海で高度な探査作業など行うわけですが、安全はどう担
保するのでしょうか。中国はすでに度々妨害行動をしていますから、日本企業の安全の
担保が大事です。例えば海上自衛隊の艦船が同海域に常駐するだけで、一定の睨みを
利かせることが出来ます。経産省だけではなく、日本政府全体としての取り組みが必要
だと思うのですが。

中川 日本企業が危機に晒されない保証はない。国際法、日中の条約、原則から言え
ば、普通はやらないはずだけれども、現にやっている実績があるからね。これまで以上に
海・空自衛隊、海上保安庁、警察の協力関係が必要となりますね。

櫻井 もう一つ、EEZの境界を画定するためには、国連の大陸棚限界委員会に海底の地
質構造の科学的証拠を提出しなければなりませんね。

中川 地層の構造をより深く把握するには3次元のコンピューター解析が不可欠ですが、
そうした船が海洋国家・日本になかった。せめて1隻持とうよと、ようやく予算がついて3
年後には完成します。

櫻井 報告書の提出期限は09年。

中川 新船が出来るまで、ラムフォーム・ビクトリーというノルウェー船をチャーターして調
査しています。

大陸棚延長論の中国が、沖ノ鳥島は岩だ、12海里は認めてやるが、それ以上はだめだ
と言っているわけですから、科学的データを蓄積して断固として沖ノ鳥島を守らなければ
ならない。石原慎太郎都知事にばかり任せてはいられないですから。

櫻井 国の仕事ですからね。

中川 そうです。防潮堤は作りましたけれども、あそこを拠点に経済活動をしないとね。だ
って、中国なんか、フィリピンの目の前の、もっとちっちゃな永興島(ベトナム領)に滑走路
作っちゃった

櫻井 永興島は、満潮のとき、沈みますね。中国の言う、岩ですらない

中川 そこにゴテゴテっと、滑走路を作っちゃった。

櫻井 日本を責める資格などないですね。

中川 というか、よく言うなと感心しますね(笑)。

櫻井 日本を代表して、中国には毅然とした態度で臨んで下さい。

中川 もちろんです。



管理人:
 二人の対談を読んでみただけでも中国という国の実像が垣間見えるではないか。
 その中国の姿はどこから来ているのか。小生は中国には、「アジアで覇権を確立し、 世界では米国と対峙する、ここにおいて中国の独立と権威は確立される、共産党の支 配も永遠に保証され」るという国家戦略が存在していると考えている。
 今回の日本の国連常任理事国入りに対する中国の強硬な姿勢はそこから来るもの である。そして、アジア諸国が日本の期待を裏切るかの様に賛成と言わないのは、もは や東アジアの盟主が中国であることを東アジア諸国が暗に認め始めていることを示して いる言って良いであろう。
 日本人は、ここまで来てもまだ分からない様である。はっきりと言おう。今の中国は日 本と共存する気持ちなど少しもないのである。中国と妥協しようとしたら我が国の生存 する道は、中国の従属国として生きる以外にない。そんなことを日本は許すつもりなの か。日本はそれが出来る様な国ではない。いずれ決裂の日が来る。
 そう言う決定的な日中争いに陥ることなく、アジアに平和を、そしそて我が国に生存の 道を残して行くには、今の中国と毅然として対峙することである。そしてアジアに覇権を 為すことは認めないとハッキリとアジアの前で、世界の前で発言し行動することである。
 我が国の生存する道は平等世界の実現以外にない。ここに日本が気が付くなら日本 は直ちにその生命を回復するであろう。そもそもこれこそが日本の世界で果たすへべき 天の与えた役割・使命だったのである。米国を真の平等世界実現に向かわせること、 中国にアジアの心を取り戻させ共に平等世界実現の道を歩むこと、これが今後の我が 国の生きる基本である。それが出来れば真の世界平和実現は決して遠い未来のことで はない。また日本人が自分を取り戻せば必ずできることなのだ。






(03)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/04/post_329.html

沖縄県伊良部町議会が決議した
下地島空港への自衛隊駐屯要請が持つ重み
ikeda 18:30 コメントする カテゴリー:領土・領海・ガス田 

『週刊ダイヤモンド』    2005年4月2日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 586


東シナ海を事実上中国の海とし、日本の海洋資源を横から持ち去り、日本の領海をわが
庭のように知り尽くした様子で侵犯する中国。その中国の脅威に、早く効果的な防備態
勢をつくってほしいと、沖縄県伊良部(いらぶ)町議会が決議した。同町にある下地島(し
もじしま)空港に自衛隊を駐屯させよという、政府への要請の決議である。

決議は、3月16日、切迫した状況のなかで、九対八の僅差で可決された。賛成した豊見
山恵栄(とみやまけいえい)、謝花浩光(じゃはなひろみつ)氏ら9人の町議会議員の信念
が、中国の脅威から日本を救う大事な一歩になると私は考える。

伊良部町のある伊良部島は、琉球列島のほぼ中間を占める宮古諸島の外れに位置す
る。昨年11月10日未明に、中国の原子力潜水艦が領海侵犯して通り過ぎた先島(さきし
ま)諸島にも、また中国が領有権を主張する尖閣諸島にもきわめて近く、目と鼻の先にあ
る。3,000メートルの立派な滑走路を持つ下地島空港もこの町にある。同空港は、現在、
民間によっても自衛隊によっても、ほとんど活用されていない。沖縄県は34年前に、同空
港は自衛隊には使わせないとの姿勢を打ち出しており、稲嶺惠一(いなみねけいいち)
現知事も同様の考えだ。

だが、伊良部町は、県の方針とは逆に、自衛隊の下地島空港への駐屯を国に要請した
のだ。
彼らは問う。中国の原子力潜水艦による領海侵犯について、先島圏域の首長が誰一人
として抗議の声を上げなかったのはなぜかと。沖縄県も、領海侵犯に対してなんの抗議
も行なわなかったのはなぜかと。住民の安全を守るべき自治体の首長が、誰一人として
声を上げなかったこと自体、寒心極まる。その理由は、首長らが「誰が地域を守り、県民
を守るべきなのかまったく認識していない」からだと彼らは指摘する。そして「再び中国軍
の領海侵犯が起こらないという保証はない」として、「先島圏域の住民の安全保障は、伊
良部町の安全に尽きると認識し、政府の責任において緊急に自衛隊を誘致し駐屯を実
施」してほしいと、「強く要請」したのだ。

この決議の持つ意味は戦術、戦略上、非常に大きい。現在、東シナ海で中国艦船が日
本の領海を侵犯したり、尖閣諸島周辺でなんらかのかたちで展開したとしても、日本の
海上自衛隊にできることは限られている。沖縄本島から海自のF4ファントムが飛び立っ
たとしても、30〜40年も前に活躍したこの古い機種の戦闘機にとっては、片道420キロメ
ートルの距離を往復するので精一杯である。対して、同空域に展開する中国側は、最新
鋭のスホーイ27戦闘機である。

自衛隊内には、北海道に配備している、より新しい機種のF15を沖縄に移すべきだとの
声もあるが、無視され続けてきた。中国の最新鋭戦闘機対日本の旧式戦闘機。東シナ
海の制空権は完全に失われているのが現状だ。

日本の失われた制空権を日本の手に取り戻す最も有効な方法が、下地島空港の活用な
のだ。先述のように、下地島空港は尖閣諸島の目の前にある。有事には、すぐに飛び立
ち、現場に急行できる。420キロメートル離れた那覇から飛び立つのでは間に合わない事
態でも、地元の下地島空港から飛び立てば十分に対処できるだろう。

同空港活用にはもう一つ、重大な意味がある。日本国の領土領海は日本国政府が守
る、日本国民の安全と安寧を脅かすことは日本国政府が許さない、という政治意思を明
確に中国に示すことになるからだ。日本が長年示しえないできた、「日本国は日本国政
府が守る」という、普通の国なら当然の国家意思を、下地島空港への自衛隊の駐屯でよ
うやく明確にすることができる。

小泉純一郎首相、大野功統(よしのり)防衛庁長官はじめ国政を預かる人びとは、伊良
部町議会の決議を感謝して受け、一日も早く彼らの要請に応えよ。


管理人の一言
沖縄にも自分の生命より国を憂える人達がいたことを確認できて洵に喜ばしい。
それにしても沖縄に配置されている航空機がF4ファントムとは驚くばかりである。
沖縄県民は一体それで沖縄の安全が守れると考えているのだろうか。

沖縄が中国から占領されなかったのは米軍がいたからで、沖縄県民の外交努力が
あったからではない。沖縄の外交音痴は日本政府のそれ以下である。
沖縄は台湾とグァムを結ぶ米軍の線を断ち切るには、最も有効な地勢にある。更に
ここに石油ガス資源があれば、これを独占することで、日本に石油資源が渡った場合
の自国の不利をくい止めることができる。何より日本そのものを自由にコントロール出
来る位置にあるという事を認識して県政にあたっている政治家がどこにいるのだろう か。

戦時中日本で英語が敵性用語として禁止されたが。そのことを現代人は愚かな事を
したものだと笑っている。だが、現代日本は軍事学や地政学を禁止している。世界が
これほど接近している時代に、軍事学や地政学に無知でどうやって現代世界の中で
生きて行くことができるというのか。希望的観測だけで政治を行うもので、正に戦前以
上の愚であろう。

人は物ではない。普段、人殺しは出て行けと言われ、お前達は要らない一刻も早く出て
行けと叫ばれ、散々マスコミに書かれ報道され、それを止める者もいない。これで米軍 も、
自衛隊も沖縄県民の為に戦うことが出来るのだろうか。国の為には戦えるとしても、い
ざ戦うという時に普段の仕打ちを思った時に、戦う意思が萎えはしまいか。私が米軍や
自衛隊員ならばどうであろうか。躊躇するのではあるまいか。

最も今の沖縄の県政は沖縄の為に戦って欲しくないと言っているのだから、中国が尖
閣諸島を奪い、沖縄に触手を伸ばしても、米軍や自衛隊が要るから戦争になるのだと、
逆に米軍と自衛隊に対する撤退決議を要求するのかも知れない。それは冗談だが、
沖縄にも真剣に沖縄県を、そして国を憂えている人がいる。そのことが明らかになった
とが洵に有り難い。








(04)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/06/post_349.html

威丈高に日本を非難する前に中国は己の戦後史を省みよ
- 軍事力による弾圧の数々 -
ikeda 22:34 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊ダイヤモンド』    2005年6月18日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 596


中国が威丈高である。町村信孝外務相が5月6日、「靖国神社に行ったから日本は軍国
主義だとか批判もあるが、とんでもないことだ」と述べ、日本は赤字国債を出してまで世
界一のODA(政府開発援助)を提供し続けてきたと語った。外相発言は自然であると同
時に当然である。

だが、中国はただちに反論した。外務省の劉建超副報道局長が7日、「経済援助を行な
ったからといって戦争責任が消滅するわけではない」と述べたのだ。中国は日本の国連
安保理常任理事国入りを阻止し、日本の影響力を殺ぐために、すべてを材料にして日本
批判に全力を注ぐ。

靖国参拝即軍国主義、歴史への反省の欠落と言い立てる中国は、それほど立派な国な
のか。第二次世界大戦以降、中国がどれほどの軍事力で周辺諸国を弾圧してきたこと
か。

たとえば、チベット人は言う。「なぜ独立国のチベットが中国にのみ込まれ、民族浄化の
ひどい弾圧を受けなければならないのか」と。

チベットは日本と並ぶ長い歴史を持つ独立国だ。自由チベット協議会などの資料による
と、ソンツェン・ガンポという国王が国を統一したのは、日本では大化の改新の頃だった。
中国政府は、13世紀以降、チベットは中国の領土だと主張するが、この場合の中国とは
いったい何を指すのか。チベット出身のペマ・ギャルポ氏が指摘した。

「モンゴル帝国と清帝国のときには、チベットがその版図の中にあったとはいえますが、
両帝国共に、現中国を支配する漢民族ではありません。支配したのはチンギスハンであ
り、女真族(じょしんぞく)です。漢民族の明の時代には、チベットはまったくその版図に入
っていません。漢民族の支配する現中国の“チベットは中国の一部”という主張は、まっ
たく根拠がないのです」

中国は52の少数民族を力で支配し、それらすべてを中国と称する。そこにチベットも含ま
れる。ギャルポ氏らは、「600万の人口を有していたチベットは決して少数民族ではない」
と言う。地球上の国々の三分の一は人口100万〜1,000万人であり、総人口600万人は、
むしろ世界的に見て平均的なサイズだというのだ。それを独立国でなく、少数民族と位置
づけること自体、事実を見る目を曇らせる。

チベットの国土もまた広く、現中国の面積のじつに四分の一に及ぶとギャルポ氏は訴え
る。広大な国土を取り上げたうえに、中国がチベット人に行なってきた弾圧のすさまじさは
筆舌に尽くしがたい。生爪をはがしたり、逆さ吊(づ)りにして鞭打つなど珍しくもない。凄
惨な個々の拷問に加えて、すさまじい移住政策がある。

人口600万人の国に、現在まで720万人と見られる漢民族が移住した。しかも、そこには
少なくとも50万人の軍人が含まれる。軍人は男性ばかりで、適齢のチベット人女性との
結婚を奨励されてチベットに定住する。チベット人の血は、混血によって薄められていく。
まさに民族浄化作戦だ。ギャルポ氏が語る。

「チベットには今でも労改と呼ばれる強制収容所が多数あり、中国に反抗するチベット人
が捕らわれています。逮捕、拘禁され、拷問を受け続けているチベット人の数は、その実
数さえわかりません。われわれはこれまでに120万人のチベット人が命を落としたと推測
しています」

武力、暴力、弾圧、無法によって中国はチベットを奪い、支配し続けている。圧政はチベッ
トにとどまらない。第二次大戦後、武力をもって国土を拡大してきた国は、地球上で中国
一国のみだということを忘れてはならない。

靖国神社問題で日本を非難する前に、中国は軍事力を背景にした己の圧政をこそ、反
省すべきだ。中国に非難されて、節操もなく譲歩に走る日本人は、戦後の中国の行動
を、まず学べ。







(05)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/05/post_343.html

投資も友好もすべて“人質”
冷酷非情と現世利益追求 これが中国のやり方だ
ikeda 10:42 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊ダイヤモンド』    2005年5月28日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 593


5月16日、小泉純一郎首相が靖国神社参拝問題について「他国が干渉すべきではない」
と正当な主張を展開したのに対し、中国政府が即、反応した。17日、外務省の孔泉(こう
せん)報道局長が、靖国問題は「いかに正しく歴史に向き合うかの問題だ」「日本の指導
者は実際の行動で」「謝罪と反省」を示すべきだと反論したのだ。

このような反応を見て、日本の財界人のなかには、日本IBMの北城恪太郎会長や富士ゼ
ロックスの小林陽太郎会長のように、またもや中国政府の意向を汲んで、小泉首相に靖
国参拝を見合わせるよう要請する人びとも出現するかもしれない。歴史も国家観も振り
捨てて商売にのみまい進するかのような行動は、しかし、彼らが熱意を込めてその意に
従おうとする肝心の中国政府には必ずしも通用しない。

5月18日付の「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)」紙が一面で伝えた「中国
のイメージの汚点」という記事を、経済界のチャイナスクールは心して読むべきだ。内容を
簡単に紹介する。

中国・上海生まれのデイビッド・ジィ氏は2000年に米国籍を取得、カリフォルニア州のアペ
ックス・ディジタル社の社長となった。同社は、中国の国営企業との取引で安価な部品の
供給を受けることで業績を大きく伸ばし、テレビ、DVDプレーヤーなどの米国市場での占
有率は抜きん出たものとなった。そしてジィ社長は昨年秋、商談のために中国を訪れた。

予定を過ぎても帰ってこないジィ社長を当初、家族は心配しなかった。「多忙で予定が延
びた」と考えていたのだ。ところが昨年11月の初めに、中国当局に逮捕されていたこ
とを知る。

調べてみると、ジィ社長はホテルの一室に軟禁され、24時間、少なくとも3人の警官が監
視、手洗いに行くにも彼らの目が光っていることが判明した。逮捕拘禁に際しては逮捕
令状も示されず、当初は弁護士も付けられていなかった。会社の弁護士との接見がよう
やく許されたが、そのときでさえ、警官らが同席した。

同社長の娘、ジーン・ジィ氏が語っている。「中国側はビジネス交渉を有利に進めるため
に、交渉材料として父を拘束しているのです」「これが中国のやり方。CEOを人質に取っ
て、商売の軋轢を中国有利に逆転させるのです」。

「IHT」紙は「“中国のやり方”はジィ社長の例に限らない」と強調している。その指摘を待
つまでもなく、中国の“やり方”について、私たちはすでに多くの苦い体験を知っている。
中国はあらゆる力を使って自分たちの利益を守り、主張を押し通す。彼らの主張が正当
性を欠いていても、彼らは意に介さないのだ。

典型例が、今年3月末の台湾の“許文龍(きょぶんりゅう)氏事件”である。氏は日本でも
よく知られる台湾財界の重鎮で、奇美(きび)実業の創立者、根っからの台湾独立派であ
る。陳水扁(ちんすいへん)政権の誕生にも、彼は大きく貢献した。というより、陳氏の勝
利は、許氏の支援なしにはおぼつかなかった。

台湾の統合を目論む中国政府は、許氏を憎み、許文龍つぶしを画策した。奇美実業が
中国に注入してきた巨額の投資、工場、施設、従業員、役員らは、中国にとっては願って
もない“人質”である。彼らはその“人質”を巧妙に活用し、許氏を締め上げ、ついに許氏
をして“中国は一つ”“台湾独立に私は反対”との誓約書を書かせ、これを公表したのだ。

中国への投資で奇美実業も発展したが、中国も大いに潤った。それでも最後は、中国は
すべてを自己目的のために利用する。中国経済に寄与したことなど一顧だにせず、感謝
もせず、中国経済に貢献した人物をもたたきつぶすのだ。この徹底した冷酷非情と現世
利益追求が中国のやり方だと、日本人は認識する必要がある。





(06)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/05/post_338.html

 対中小泉外交の惨めな敗北
ikeda 10:32 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊新潮』 '05年5月5・12号
日本ルネッサンス 第164回


4月23日夜、ジャカルタで日中首脳会談を終えた小泉純一郎首相は、外国の記者団に
「ベリー・グッド・ミーティング」だったと手を大きく振って答え、日本語での会見でも「日中
友好がいかに重要か、その認識を確かめることが出来た」と成果を強調した。

日本を貶める外交を展開したあとに、よくこんなふうに胸を張って言えるものだ。小泉叩
頭(こうとう)外交のもたらす負の遺産はひとり小泉首相にとどまらず、日本全体に及び、
次の世代にも禍根を残す。そのことを、この人物は、恐らく気づいていない。

なぜ、首相はアジア・アフリカ会議(バンドン会議)で、村山談話を繰り返さなければなら
なかったのか。村山談話は周知のように第二次世界大戦についての「痛切なる反省と心
からのおわび」である。同談話を語った村山富市氏が首相として一体どのような形で日
本を代表したか、その恥ずかしい姿を、私たちは思い出すべきだ。94年、インドネシアで
のAPEC首脳会議の日中首脳会談で村山氏は江沢民国家主席から冒頭にピシリと言い
渡された。「日本で軍国主義といった認識が出てくるが、これはよくない」「(加害者として
の)歴史を忘れることなく、歴史を若い世代に教えていくことが重要だ」

94年に、どんな「軍国主義」への動きがあったかを、日本人は思いつかないだろう。それ
もそのはずだ。そんなことはなかったのだ。だが村山氏はおとなしく拝聴したまま、「第5
次円借款は今年(94年)度中にも3年分の枠について合意したい」と別の話題を切り出し
たのだ。当時第5次円借款の交渉が進行中で、日本側は5年間で1兆円を目処とし、中国
側は1兆5,000億円を要望していた。3年分といえば6,000億円から9,000億円、この膨大な
経済援助について日本は中国側の感謝を引き出すことも出来たはずだ。が、村山氏は
そうはせずに「核実験禁止が全世界に行きわたるよう理解を得たい」と遠慮がちに述べ
た。

当時核実験を繰り返していた中国に、ODAを差し上げますから、何とかしてほしいとお願
いしたわけだ。江沢民主席は高飛車に言ってのけた。「我々の核実験は限られたもの
だ。御心配には及ばない」と。


なぜ日本は責められるのか

村山氏は反論出来ないまま、屈辱的な形で首脳会談を終えた。社会党左派出身の、首
相となるための素養も教養も積んでいなかった人物の限界である。小泉首相が繰り返し
たのは、その村山氏の談話だ。

今回、なぜ中国は謝罪もせず、国家としての損害賠償にも応じず、日本を非難するの
か。反対になぜ、日本側が謝罪し反省しなければならないのか。首相の対中外交はこれ
らの問いに答えられない。

一連の経過を振り返れば、今回の反日運動はまず韓国で竹島問題を直接のきっかけと
して始まった。間違いなく日本の領土である竹島を、盧武鉉政権が政治的に利用し、公
然と日本批判を行った時点から、韓国の反日運動がさらに拡大したことを私たちは見逃
してはならない。韓国での反日運動は竹島や歴史の政治利用によって国内の保守派を
つぶし、日本をも批判しようとする盧政権の目論見の結果であり、日本は責められるべき
何事をもしてはいない。

片や中国の反日運動は長年の反日教育抜きには語れない。中国の教科書を見よ。人民
教育出版社歴史室の編纂した『中国歴史』の冒頭には歴史の学習による「思想品徳」つ
まり「強烈な愛国の熱情と民族の誇り」「中国共産党につき従い社会主義の光り輝く大道
を歩む信念」を身につけることが重要だと書かれている。そのために、中国歴史の栄光を
誇大に描き、その栄光を強調するために、殊更に日本を暗黒として教えるのだ。

子供時代からの愛国教育の先に、日本軍は南京で30万人を虐殺したなどの、事実に程
遠い歴史を捏造し、反日に導いてきたのが中国政府だ。日本への憎しみは中国人の骨
身に浸透し、精神を蝕んできたはずだ。


日本の土台を腐らせるな

中国政府も韓国政府も執拗に繰り返す。「謝罪せよ」と。だが、日本側は歴代の首相に
加えて天皇陛下も謝罪してきた。中国には実態としての戦時補償を3兆3,000億円も払っ
てきた。このことを国民には教えずに、繰り返し日本に反省と謝罪を強要するのは間違い
だ。日本外交は、中韓両政府にそうしたことを自国民に周知させよと要求もせず、ひたす
ら物を言わないできた。その不手際と怠慢故に、日本外務省は、反日感情に関しては中
国政府と韓国政府同様、重い責任がある。

今回のデモは実情を知らない日本憎しの反日国民感情が燃え上がった結果であり、日
本政府は中国人の理不尽な暴力行為に厳しく抗議し、損害賠償を求めなければならな
い。だが、首相は日本の立場を主張するより日中友好を優先し、謝罪も補償も求めなか
った。恐るべきは首相の歪な姿勢が、いまや小泉内閣全体に行きわたろうとしていること
だ。4月22日の春の例大祭に小泉内閣の閣僚は麻生太郎総務相を除き、誰も靖國を訪
れなかった。中韓両政府が要求する靖國参拝中止に、小泉政権の閣僚が見事につき従
ったのだ。こうしたことは水面下の日中交渉で合意されたものと思われる。その上に、あ
の村山談話を再び、繰り返したのだ。日本の立場を置き去りにした“日中友好”など、日
本にとって何の意味があるのか。そんな関係は友好どころか、害のみをもたらす。

国際社会は日中関係を冷静に見詰めている。「ワシントン・ポスト」「ウォールストリート・
ジャーナル」「フィナンシャル・タイムズ」紙など、世界の主要紙は中国政府が歴史カード
を用いて民衆を煽ったとの分析を報じた。中国が反日で日本を追い詰める背景に、日本
が東シナ海で海底資源の開発を手がけようとしたり、国連安保理常任理事国にも立候補
するなど、戦後はじめて、おずおずとながら自己主張を始めたことがあるとも分析されて
いる。萎縮していた日本が、一人前に立ち上がろうとするいまこそ、日本の頭を強く叩い
ておかなければ本当に“普通の自立国家”になってしまう、日本を制するのは後になれば
なるほど難しいとの判断が中国側にあると国際社会は見ているのだ。

だからこそ、小泉首相は、バンドン会議で過去を謝罪するのではなく、新たな世紀のリー
ダーとして、21世紀の世界の活力の源となる民主主義の擁護を訴えるべきだった。人権
尊重、自由経済の擁護、平和に徹した戦後60年の歩み。日本の姿は中国の強権強圧政
治とは異なると、具体的に鮮やかに比べてみせることこそが日本国の首相としての責務
だった。

首相の恥ずべき叩頭外交は中国に、歴史を利用することが最も効果的に日本を屈服さ
せる方法だと、またもや、認識させた。この種の小泉外交こそが日本の土台を腐らせる
のだ。






(07)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/05/post_337.html
2005年05月07日
日本の資源が上海に送られる!? 
国際法無視で中国が進める海底ガス田開発に新たな展開
ikeda 11:00 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊ダイヤモンド』    2005年4月30日、5月7日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 590


「中国政府はこれまで一度も、日本国民に申し訳ないことをしたことはない」――中国の
李肇星(リチョウセイ)外務相が日本の町村信孝外相に言ったこの言葉ほど、日本人を
愚弄するものはない。

反日運動が吹き荒れる中国の各都市から、目を東シナ海に転ずると、そこでは日本の資
源を大胆に奪い取る開発が、何十回もの日本側の抗議にもかかわらず続いている。日
中における排他的経済水域の、中間線のすぐ脇で進められている石油・天然ガス田群
の開発で、また新たな動きが確認されたのだ。4月13日までに、同ガス田の中心施設とな
ると思われる天外天(テンガイテン)の櫓と、その北にある平湖(ヘイコ)がパイプラインで
つながったことが確認された。平湖のパイプラインは上海につながっており、上海市民に
エネルギーを力強く供給している。

中国は平湖一号井の試掘に1983年4月に成功、以来、二号井、三号井、四号井と試掘し
てきた。杏林大学の平松茂雄教授によると、最も有望なのは四号井で、深さ2,300〜3,
700メートルのあいだに、合計13のガス層と4つの油層がある。

この平湖石油・ガス田の北約30キロメートルに宝雲亭(ホウウンテイ)一号井があり、そ
の石油・ガス構造は平湖の構造と同じ断層帯に位置する。宝雲亭の発見により、石油・
ガス鉱帯の範囲が80キロメートル以上広がったと平松教授は指摘する。

中国側は春暁(シュンギョウ)石油・ガス田群の開発を正当化するためにさまざまな主張
を展開するが、なかには、「世界のどの海底ガス田の構造を見ても、直径5キロメートル
以上の広がりを持つものはない」などと主張する、中国政府の代弁者のような学者も目
につく。中国がすでに20年来活用してきた平湖の石油・ガス田群を見ても、そうした主張
がためにするものであることは明らかだ。

春暁石油・ガス田群は、春暁、天外天、断橋(ダンキョウ)、残雪の四つの石油・ガス田か
ら成るが、日本側の調査では、春暁と断橋の2つが海底で日本側の石油・ガス田とつな
がっていることが確認された。これら石油・ガス田の資源を集合するのが天外天であり、
その天外天が今、平湖とパイプでつながったのだ。これでは日本の資源が確実に吸い取
られ、上海に送られてしまう。

しかも、天外天は平湖とつながっただけでなく、今、まさに寧波(ネイハ)ともつながろうと
している。寧波から天外天に向かって敷設されたパイプは天外天・平湖間のものより直
径が2・5倍の太さで、天然ガス専用だと見られる。

今、東シナ海では、これらのパイプを運ぶ台船と、それを溶接し海底に設置する大型クレ
ーンを備えた作業船が忙しく作業中だ。1月には周辺海域を、日本を睥睨(へいげい)す
るかのように、中国の最新鋭の軍艦が航行した。

中川昭一経済産業相が「日本側も鉱区を設定し、民間企業に開発を許可する」と発表し
た。当然の決定であり、正しい決断である。にもかかわらず、中国側は「中国の権益と国
際関係の規則に対する重大な挑戦だ」と言うのだ。

この発言は天に唾するものだ。中国の行為こそ国際法の無視であり、日本への重大な
挑戦だ。
日本側はここで、国際社会に恥じない行動をとるべきだ。ゆえなく妥協しては世界に侮ら
れ、未来永劫、禍根(かこん)を残す。国際法をしっかりと守りつつ日本の立場を主張す
ることで初めて、日本の正当性と国家としての尊厳を、国際社会に示すことができる。

日本の主張は、官邸主導で経済産業省、外務省、防衛庁などが一体となって展開しなけ
れば効果はない。たとえば、中国は東シナ海を守るために軍艦を展開させた。日本も同
じく、海上自衛隊の船を出すべきだ。日本の国家としての決意を示すのに、そのことが
今、最も効果的である。






(08)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/04/post_336.html

2005年04月28日
 『歴史歪曲』今こそ中国は詫びよ
ikeda 17:39 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊新潮』 '05年4月28日号
日本ルネッサンス 第163回


4月17日に北京の釣魚台迎賓館で行われた日中外相会談の模様は、中国外交の悪しき
伝統を示すものだ。

中国の李肇星(りちょうせい)外相は堅い表情で「日本政府が台湾問題、人権問題、歴史
問題など一連の問題で中国人民の感情を傷つけている」と突きつけた。

人権弾圧で国際社会から厳しく注文をつけられてきた中国政府から、選りに選って人権
問題について批判されるなどとは、まさか、日本人は誰ひとり想像しなかったことだろう。

李外相はさらに居丈高に「これまで中国政府は一度も日本国民に申し訳ないことをした
ことはない」と述べ、国営通信・新華社は中国国民に対して、町村外相が、過去の歴史に
ついて「再度、深刻な反省とおわびを表明した」と、全く虚偽の事実を配信した。だが日本
側の謝罪と賠償の要求は伝えなかったそうだ。

情報を制限し、国民世論を操作する中国の手法は、国民の目に映る国際社会の姿と歴
史を歪曲するもので、今も昔も変わらぬ中国の手法だ。

たとえば南京事件である。南京事件は大虐殺だった、虐殺は存在しなかった、否、真実
はその中間にあるというふうに、意見は大きく三分される。学者たちの間でも、尚、決着
のつかない同事件について、国民への正しい教え方は、意見の分かれている現状を教
えることだ。しかし、中国政府は、30万人が虐殺されたと一方的に主張し、記念館を建
設、生生しい展示を続ける。歴史問題で繰り返し非難される日本人は、中国の主張する
“南京大虐殺30万人説”がどのように構築されたかを、この際よく知っておくべきだ。

南京事件は、日本を戦犯として裁くために南京と東京で行われた裁判によって確定され
た。南京の判決では殺害された犠牲者は34万人とされ、東京での極東国際軍事裁判で
は20万人以上とされた。


虐待30万人説の根拠

日本軍による“虐殺”の有力な証拠資料とされるものに、『マンチェスター・ガーディアン』
紙の中国特派員でオーストラリア国籍のティンパーレーの『戦争とは何か─中国におけ
る日本軍のテロ行為』がある。同書は『外国人目賭中之日軍暴行』として中国語に翻訳
された。

右の書の序文に楊明という人物が「(日本)帝国主義の強盗軍隊のすべての暴行は、決し
て偶然なものではない。すべて故意、全体的、組織的なものである」と書いている。これ
は日本軍の暴行は日本の国家意思によるものだと位置づけるもので、当時の蒋介石国
民党政権の対日観そのものの見方である。また、同書には、「中国における戦闘区域内
(上海・南京間)で少なくとも中国人兵士の死傷した数は30万人を下らない。また一般市
民も、ほぼ同じであった」と書かれている。

ちなみに、ティンパーリーは南京戦当時、南京にいた事実はない。それにしても日本軍に
よる南京大虐殺の根拠となった作品を著したティンパーリーとはどういう人物か。長い間
の謎を解いたのが鈴木明氏の『新「南京大虐殺」のまぼろし』(飛鳥新社)であり、北村稔
氏の『「南京事件」の探求』(文春新書)である。

両氏の研究によると、ティンパーリーは蒋介石の国民党が宣伝工作用に雇った人物で、
国民党中央宣伝部の顧問だった。中央宣伝部の下には国際宣伝処が設けられ、南京事
件に関しても暗躍した。その様子は、国際宣伝処長の曾虚白の自伝などに基づいて、次
のように書かれている。

「日本軍の南京大虐殺の悪行が世界を震撼させた時、国際宣伝処は直ちに当時南京に
いた英国のマンチェスター・ガーディアンの記者ティンパーリーとアメリカの教授のスマイ
スに宣伝刊行物の〈日軍暴行紀実〉と〈南京戦禍写真〉を書いて貰い、この両書は一躍
有名になったという。このように中国人自身は顔を出さずに手当てを支払う等の方法で
『我が抗戦の真相と政策を理解する国際友人に我々の代言人となってもらう』という曲線
的宣伝手法は、国際宣伝処が戦時最も常用した技巧の一つであり効果が著しかった」
(「南京事件の研究」)

“南京大虐殺”“30万人の虐殺”の話は、こうして創作されていったが、北村氏はさらに興
味深い事実を指摘している。ティンパーリーの著書は、ロンドンのゴランツという出版社
から出されており、同社は1936年に成立した左翼知識人の団体「レフト・ブック・クラブ」
の出版元だったという事実だ。

 中国人政府に雇われた学者が書き、左翼知識人の出版社から出された書物が「南京
大虐殺、30万人説」の根拠となったわけだ。加えて、中国は日本の一連の行為は偶然で
はなく、国家戦略に根ざした計画的行為であると主張した。そこに出現するのが「田中上
奏文」である。


事実の歪曲を許すな

田中上奏文は、田中義一首相が天皇にあてて書いたとされ、日本が世界征服を成し遂
げるための第一段階として中国の征服を主張したとされる内容だ。しかし、日本のみなら
ず、米国でも欧州でも、『エンサイクロペディア・アメリカーナ』にも『ブリタニカ』にも、田中
上奏文は「偽造文書」と解説されている。

しかし、今だに中国のみが「田中奏折(上奏文)」は本物で、日本が「支那を征服するた
め」計画した、その一例が南京事件だと位置づけ、「日本帝国主義の意図と世界に対す
る野心」を国民に教えているのだ。

南京事件はじめ、日本の中国進出を是と考える日本人は現在殆どいないであろうが、そ
れでも中国の日本憎しの反日政策と教育には我慢の限界がある。もうひとつ、いま、南
京の「大虐殺記念館」で英雄であるかのように大きく展示されているジョン・ラーベはその
「ラーベ日記」の「ヒトラーへの上申書」のなかで南京での被害者について、「中国人は10
万人といっているが、私は5、6万人と思う」と書いている。だが、このくだりも、中国語版で
は全て削除されていると鈴木氏は指摘している。歴史を歪めているのは日本ではなく、中
国なのである。

折しも『ウォールストリート・ジャーナル』が4月11日の社説で厳しく指摘した。「天安門の
虐殺には殆ど触れず、それは秩序回復のためだったとしか教えない」「朝鮮戦争は米国
の帝国主義の侵略から始まった」、或いは、「米国のFBIは労働者弾圧に使われていると
中国の教科書で教えている」、「歴史の解釈を見直すべきは中国指導部である」と。

日本は、好い加減にまっ当な主張を展開すべきだ。中国の反日暴力はウィーン条約に基
づいて謝罪と賠償を求めるべきだ。歴史の歪曲のみならず、現在進行中の尖閣諸島及
び東シナ海の領有についても、事実の歪曲を許してはならない。主張しない日本が国際
社会で共感を得ることは金輪際ないのである。だから今こそ、中国に要求せよ、歴史の
歪曲を、日本は許さないと。








(09)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/04/40.html

40年たってようやく正しく決定された天然ガス田試掘権 
日中関係の基調は緊張含み
ikeda 18:04 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊ダイヤモンド』    2005年4月23日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 589


反日デモが多発する中国が、さらに烈(はげ)しく反発しかねない決定を、経済産業省が
下した。帝国石油、石油資源開発、新日本石油などに、日中両国の東シナ海における排
他的経済水域の中間線近くで、天然ガス田の試掘権を認めた4月13日の決定だ。

同海域では帝国石油などが1966年以来、試掘権を申請し続けてきた。今回の決定は40
年たって初めての決定である。日本の国連安保理常任理事国入りや歴史の問題で、中
国では官民一体の烈しい反日感情が吹き荒れている。その最中の決定は経産省中枢部
の強い意思を窺(うかが)わせるもので、私はそれを高く評価する。しかし、課題も多い。

中間線近くでの資源開発には関係国の利害が密接に絡む。日本政府による海底資源調
査でさえも、中国側は複数の船を出し、日本の調査船の前方を塞ぐなど露骨に妨害し
た。調査の段階から実際の試掘に入れば、中国の妨害はいっそう強まると見なければな
らない。

今回、ようやく日本政府の許可を得て、帝国石油ら民間企業が試掘に乗り出すとして、彼
らの安全は日本政府が担保すべきであり、その仕事には経産省一省の力では不足であ
る。
今年1月22日、中国海軍はソブレメンヌイ級の軍艦を東シナ海に派遣。春暁、天外天など
の周辺を航行させ、日本を尻目に威風堂々の示威行動を取った。ロシアから購入した同
軍艦は米国さえも手を焼く最新鋭の装備を積んでいる。東シナ海の資源は、軍事力をも
ってして守り通すと語っている中国に対して、日本側の試掘、その先にくる一連の開発作
業の安全を守るには、まず、日本政府が中国政府と同じだけの国家意思を持つことが必
要だ。そのために官邸が中心となって、外務省、防衛庁、海上保安庁などとの協力体制
を築くことが喫緊の課題である。

日中外交での日本の過去の失敗は、常に半歩または一歩引くことから始まっている。交
渉は、日本側が中国側と同じレベル、同じ強さで主張して初めて、両国の主張を取り入れ
た均衡点で折り合える。こうしたプロセスのなかで半歩でも引けば、その隙から中国は踏
み込んでくる。だからこそ、一歩も引いてはならないことを、日本側は重ねがさね自覚す
ることだ。民間企業の作業の安全のために、海保の船で不十分なら海上自衛隊の艦船
を同海域に常駐させることを、真剣に考えるべきだろう。

周知のように、中国は東シナ海で一方的な開発を進めてきた。しかし、日本側が開発に
乗り出すことが明白になった今、あるいは共同開発を呼びかけてくることも予想される。
その際に、私たちは南シナ海での中国の振る舞いを思い出さなくてはならない。中国は、
74年1月、南シナ海で南ベトナム(当時)支配下の西沙諸島を軍事力で奪った。次に南沙
諸島に触手を伸ばしたのは88年だった、ベトナムが実効支配していた沖合のサンゴ礁を
奪い、その上にコンクリート製の永久施設を造り占拠した。

そして日本が阪神淡路大震災に見舞われた95年1月、フィリピンが領有権を主張する南
沙諸島のミスチーフ島に中国海軍が上陸、“漁民の避難施設”だといって、堅固な軍事施
設を築いた。そうした行動のすえに、中国は南シナ海での共同開発を、ASEAN諸国に呼
びかけた。軍事力で島々を押さえ、中国領だと宣言したうえでの“共同開発”である。ほ
かのアジア諸国の主権的権利や管轄権が認められるわけもない。

中国が日本に東シナ海の共同開発を呼びかけるとき、同じカラクリがあると考えるべき
だ。中国に対処する最善の方法は、どんなときにも中国と対等の立場を主張し、あらゆる
力をもってそのことを示していくことだ。当面、日中関係は緊張含みだと覚悟すれば、読
み違えはない。











(10)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/04/post_335.html

2005年04月21日
中国には堂々と対峙せよ
ikeda 15:50 コメントする カテゴリー:中国・領海 

『週刊新潮』 '05年4月21日号
日本ルネッサンス 第162回


中国で政府公認のデモが続いている。4月3日には深?市で、日本の国連安保理常任理
事国入り反対の大規模なデモ、9日には北京の日本大使館前で、同じ理由による大規模
デモが発生、警官の目前で日本大使館への烈しい投石が続いた。10日には広州市と
深?市で3万人が終日、荒れ狂った。

デモ参加者を当局がバスで送りとどけたり、デモ隊が進み易いように警官が交通整理を
して道を開けたことなど、どの目撃証言も中国政府がデモを助長した事実を指摘してい
た。

10日午前、町村信孝外相が抗議し、謝罪と補償を求めたのは当然だ。しかし、中国政府
は同日夜、「責任は中国側にはない」と主張したのである。デモは「歴史問題などで日本
に不満を抱く国民の自発的抗議活動」だそうだ。中国外務省、秦剛副報道局長のこの発
言は即日、インターネットに掲載され、中国国民に、デモは政府公認だとの証拠となっ
た。

11日、谷内正太郎外務次官が改めて謝罪と補償を要求する一方で、小泉純一郎首相は
対話で事態の打開をはかるよう町村外相に指示した。

問題が深刻であるほど、話し合いは重要だ。その意味で、日中外相会談を予定どおり17
日に行うべしとの首相の指示は正しい。

その場合、日本側が心しなければならないことがある。中国は話し合いを通じて日本の
立場を理解し、受け容れるような国ではないということだ。中国は目的を達成するまでは
決して諦めないということを、町村外相は肝に銘じて訪中すべきである。

中国の目的は、歴史問題で未来永劫日本に反省を続けさせ、尖閣も、東シナ海の資源
も諦めさせ、国連安保理の常任理事国に日本を入れさせないことだ。中国国民の目に、
加害者としての邪悪な日本の姿を焼きつけ続け、不満の捌け口として日本を利用出来れ
ば、それが中国政府にとって最も都合がよいのである。

江沢民時代に執念にも似た熱心さで始めた全国的な反日愛国教育の根深さとその影響
の深刻さを思えば、トヨタ自動車の奥田碩会長の「暫く様子を見る」などのコメントは的外
れである。


屈辱外交のツケ

中国政府が政治的思惑で醸成してきた反日感情は容易にはおさまらない。だからこそ、
日本は暫く、少なくとも一世代か二世代の間、中国に対して特段の覚悟、日中関係は緊
張が基調であるとの覚悟を持つべきだ。

1992年の記憶を喚起しておきたい。この年こそ、日本にとって日中関係がいかに理不
尽、不均衡で、どれほど屈辱的な立場に、日本側が自ら甘んじてきたかを示す年だ。

92年2月25日、中国は全国人民代表大会で「中華人民共和国領海法及び接続水域法」
(以下領海法)を定めた。同法は尖閣諸島、台湾、澎湖島、南沙諸島、西沙諸島、東沙諸
島、黄海の大陸棚も東シナ海の大陸棚等も全て、中国領だと定めた。

同法14条には「中国の領海および接続水域」に許可なく入ってくる外国艦船を排除し追
跡する権限を、中国海軍の艦艇および航空機に与えると明記された。自ら勝手に決めた
領海法、その領海法で中国のものと勝手に定めた海域に許可なく入れば、軍事力を行
使して排除するという特異かつ、一方的な法律だった。

日本側は翌日、直ちに中国政府に「極めて遺憾であり、是正を要求する」と抗議した。但
し、抗議は口頭で行われた。なぜ口頭なのか。中国側が「少しの土地、海域も失うことは
出来ない」として軍事力で死守すると宣言したのに較べて、日本側の口頭抗議は余りに
弱々しい。

外務省は当時、「日中関係を荒だてないため」と説明した。中国問題専門家といわれる
学者たちは、日中国交20周年にあたり、中国側が天皇、皇后両陛下の御訪中を希望し
ている年に、このような強硬な法律を作ったのは、中国内の保守派や軍部の圧力の故だ
と解説した。

今月の一連の反日デモに関して中国政府も戸惑っているのだと中国政府を擁護する中
国問題専門家の言葉を彷彿とさせる説明が、92年にもなされていたわけだ。領海法の成
立は、保守派や軍部の圧力の故ではなく、中国政府の長年の戦略が実を結んだに他な
らない。同じく今回のデモも基本的に中国政府の思惑に沿ったものと考えるべきだろう。

92年の領海法制定から4ヵ月後の6月30日、中国政府は東シナ海に鉱区を設定し石油探
査権を外国企業に開放した。同時に同年6月4日の『解放軍報』は中国側が88年から4年
をかけて中国海軍が主力となって東シナ海の調査を行い、同調査は92年6月に完了した
と報じた。準備万端整えていたのだ。


友好のために主張せよ

日本は、この時、中国に対して、口頭ではなく強い外交上の措置を伴う抗議をすべきだっ
た。日本が抗議をしたとして、それには十分に正当な理由がある。尖閣は日本の領土で
あり、東シナ海が中国ひとりの海であるはずはないからだ。また、領海法成立に先立つ
78年には、日中平和友好条約を結んだが、このときケ小平副首相は、尖閣諸島の帰属
問題は子子孫々の時代に平和的に解決すべきだと語っていたからだ。日本側はそれを
信じたが、中国は裏切ったのだ。
その時の日本の対処は、実に、卑屈以外の何物でもなかった。ひたすら摩擦を回避しよ
うとし、同年10月に天皇、皇后両陛下の御訪中を実現させてしまったのだ。

狡猾な言辞で日本を欺き、軍事力の行使を法制化して力ずくの外交を展開する中国に、
日本側は、日本の持てる最重要の外交カードを切ったわけだ。89年6月の天安門事件で
各国から経済制裁を科せられていた当時の中国にとって天皇御訪中は救いの手となっ
た。御訪問が突破口となり、各国の中国への経済制裁は順次解かれたからだ。

“困っている時に手を貸せば中国は必ず感謝する”“中国との友好はこれでこそ深まる”
などと、中国問題専門家たちは語った。しかし、現状は、そうした甘い見方が決定的に間
違っていたことを示している。中国政府は尖閣諸島は中国領だと教え続け、国民はそれ
を信じ込んできた。尖閣について正当な主張をすれば、日本人は心底中国人に憎まれる
状況が出現した。

日中関係のみならず、朝鮮半島に対しても、日本外交は、当初は友好を妨げないためと
して物を言わない、問題が発生すれば今度は事を荒だてないためとして物を言わない。
ツケはたまり、最後に先鋭的に突きつけられ、日本は行き詰まる。

だからこそ、町村外相は中国訪問にあたり、中国側と正面から対峙することを恐れては
ならないのだ。心して日本の立場を主張し、謝罪と損害賠償を求めるところから、地平は
開けてくる。日中関係の重要さを隠れ蓑にして、譲ることに徹してはならないのだ。









(09)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2004/12/post_320.html#comments
2004年12月30日
特集 「 緊迫の海域『尖閣諸島』を視た! 」(前編)
ikeda 17:45 コメントする カテゴリー:領土・領海・ガス田 

『週刊新潮』 '04年12月30日、'05号1月6日号
日本ルネッサンス[拡大版] 第147回


日本列島の周辺海域はいまや緊迫の海である。

東シナ海は96年以降中国の実効支配が確立されたと言われる程、中国海軍所属の軍
艦や海洋資源調査船の活動が著しい。だが、中国側の動きは今や急速に日本の太平洋
側に拡大され、現に沖ノ鳥島周辺で、中国船の海底及び資源調査が活発化しつつある。

たとえば、調査船向陽紅14号は04年1月9日、沖ノ鳥島の北方海域でワイヤーを吊り下
げ音波を発振しながら漂流した。海底の地形、潮流、水温などを調べたとみられる。いず
れも資源探査と潜水艦の航行に欠かせない重要情報である。台湾有事の際には必ずこ
の海域を通過するであろう米空母の展開を予測するためにも、同海域の情報は中国海
軍にとって必須である。

さらに2月に入ると東方紅2号が、先の海域の南側接続海域で、漂流しつつ同様の調査
を行った。東方紅2号は2月29日、3月2日、3月4日、3月7日の4度にわたって調査を繰り
返した。

5月11日、またもや向陽紅14号が姿をみせた。今度は沖ノ鳥島にぐっと近づき、島の北側
で調査を開始。だが、今回は漂泊はせずにワイヤーを引っ張り音波を発振し航行しなが
らの調査である。

7月12日、向陽紅9号が沖ノ鳥島の南側で調査。12月7日、科学1号が向陽9号が調査し
た海域の南側、南鳥島の海域を調査。これら全て、日本のEEZ内で行われた。明らかな
国連海洋法違反である。

現在沖ノ鳥島周辺で進行中の事態は、実はすでに東シナ海で行われてきたことだ。80年
代から中国は東シナ海へと目に見えて進出、90年代には活発な活動を展開した。そして
いま、中国は東シナ海で日本が主張する中間線からわずか3海里(4.8キロメートル)中国
側に入ったところで春暁石油ガス田の開発に着手した。採掘した天然ガス輸送用のパイ
プライン敷設工事が始まったとき、中国側は論評したものだ。「日本の朝野が悔やんでも
どうしようもない」。それほど春暁石油ガス田の開発は実質的段階に入ったのだ。

片や日本政府は東シナ海での調査を抑制し続けてきた。資源調査を申請した民間企業
に40年近くも許可を与えず、ひたすら中国に遠慮した。一体、東シナ海はどうなっている
のか。東シナ海の現実を知ることなしには、日中関係の現状も、中国側の意図も正しく読
みとることは出来ない。逆に東シナ海の現状こそが、中国の意図を明示する。そこで私
はこの海域を上空からしっかりと視てきた。

海上自衛隊のP3Cから見た東シナ海は、海洋権益について圧倒的に有利な中国の立場
をそのまま絵にした海になっていた。都合4時間のフライトで視た海は、日本が多くの切
迫した課題に直面していることを警告し、全力をあげて対処せよと告げていた。以下は12
月13日の東シナ海の現実である。


わがもの顔の中国調査船

 14時丁度、P3Cで那覇空港を飛びたった。前日の烈しい雨とはうって替わっての晴天
だ。機体は慶良間諸島を左手にしながら高度を上げる。海原が輝き、濃紺の海に海底の
珊瑚のせいか、ミルク色を帯びた美しく明るい青色のスポットが点在している。

14時15分、一見平和な佇まいの海上で突然、船影がレーダーに写し出された。中国の海
洋調査船科学1号である。12月7日以降、南鳥島海域で調査活動を展開したあの問題の
船だ。

14時24分、P3Cは、肉眼で識別出来る距離まで科学1号に接近した。4,500トン、黄色の
船体、3本マストの船だ。ワイヤーを引っ張っている様子はない。北西方向に航行してい
るところから、調査任務が終了して中国に引きあげる途中であろう。東シナ海で中国の調
査船を見かけるのは、日常茶飯になってしまったそうだ。

14時47分、下地島を確認、下地島は宮古列島のほぼはずれに位置し、3,000メートルの
滑走路を持つ。立派な空港にはたった1機が滑走路の端にポツンと駐機していた。殆ど
活用されていない様子だ。尖閣諸島に近いこの島の滑走路を自衛隊が使用出来れば、
日本の領土の護りは現状よりもずっと迅速に行える。現在は、中国船による侵犯事件が
発生すると、自衛隊機は軍民共同使用の那覇空港から飛び立ち約40分かかって尖閣上
空に到達する。だが、下地島から飛び立てば時間は大幅に短縮され、より適切に危機に
対応出来る。しかし、下地島の空港を管理する沖縄県は強烈に反対する構えだ。

14時59分、下地島上空から石垣島上空に到着。尖閣諸島まではまだ遠い。

視察に同行していた杏林大学教授で中国問題の専門家、平松茂雄氏が指摘した。

「那覇から尖閣諸島までの距離は約420キロです。中国福建省からも、台湾の花蓮から
もほぼ同距離です。福建省にはスホイ27戦闘機が、花蓮にはミラージュ戦闘機が配備さ
れています。いずれも最新鋭の戦闘機で性能が極めてよい。ひるがえって沖縄の自衛隊
が持っているのはF4ファントムです。30〜40年も前に活躍した戦闘機で、古いというより
クラシックに近い。つまり、尖閣諸島の位置する東シナ海の制空権はもはや日本にはな
いということです」

15時05分、中国がその空までも実効支配する東シナ海を進んで西表島が見えてきた。
大きく緑深い山々が連なる。意外な程の人家が散在する。西表島を見ながらP3Cは防空
識別圏の限界に向かって西へと進む。

15時15分、タンカー発見。P3Cの隊員が即座に日本郵船のタンカーだと識別。驚くほどの
遠距離から船の形と煙突の上のマークを読みとったのだ。

15時17分、与那国島上空を目前にP3Cは西から北へと緩いカーブを描きながら方向転換
した。自衛隊機が与那国上空を飛ばないのは、同島が日本の防空識別圏のに位置して
おり、近づくと日本側の管制塔のみならず、台湾側も緊張するからだ。最悪の場合は台
湾側を刺激して警告の緊急発進(スクランブル)をかけられる危険性もある。そのような
事態を避けるため、P3Cは手前で方向転換するのだ。


国際法違反が罷り通る海

15時35分。ついに尖閣諸島が姿を現した。最も大きい魚釣島と南小島と北小島が見え
る。P3Cが高度を下げて魚釣島上空を旋回した。回り込むと、南小島の沖に尖閣諸島を
守っている海上保安庁の船がいた。

映像や写真で幾度も目にしていた魚釣島だが、眼前に見れば山は思いの外高く、深い
森が広がっている。水は豊かだろうと想像出来る。ここにはいま、繁殖した山羊が100頭
余りにも生棲するというが、彼らが生きのびていく十分な環境があるのだ。かつて200人
余りの日本人が働き、暮らしていた魚釣島には当時の名残の建築物の跡が見てとれ
た。島の平地につながる水路、その先の灯台もはっきり目視出来た。

魚釣島の少し先に久場島も姿を見せた。小振りで穏やかな佇まい。思わず住んでみたく
なる。黄尾島とも呼ばれ、石垣島よりも緯度で1度半北にあるが、台湾の東側を流れる熱
帯海流のおかげで平均温度は高い。3つの小さな山のような隆起地があり、いずれも頂
上が凹地になっており、雨水がたくわえられるのか、植生は極めて豊かに見える。海鳥
が群生し糞で島全体が肥沃な地となっているのだ。孤島であることが幸いして日本固有
の種が今も多く残されているそうだ。

16時08分、海原に海自の護衛艦「おおよど」を発見。2,000トンの白い船体が頼もしく思え
る。おおよどは通常の警戒監視行動についているだけなのだが、こうして日本の海上自
衛隊の船がこの海域にとどまることが、いま、非常に重要なのだ。自衛隊のプレゼンスを
この海域に示すことによって、日本の領海もEEZも、日米政府は断固として守るという国
家意志を、中国はじめ諸国に示すことが出来るからだ。中国側は資源調査の時にもしば
しば海軍の軍艦を繰り出して日本側に睨みを効かせる。のみならず他国のEEZに鉱区を
設定し、資源探査の権限を米国などの企業に売る。そして92年5月に南シナ海南沙諸島
で行ったように、外国企業による探査作業の安全を中国海軍が保障するとの一項を契
約書に入れさえもする。まさに軍事力で他国の海洋権益を奪いとるのが中国の現行政
策だ。

そのような国際法違反が横行する海におおよどがプレゼンスを示すのは当然だ。但し、
日本の極めて特殊な事情によって護衛艦のおおよどは手足を縛られた状態で、実際に
は違反船の取り締まりも出来ない。それでも出来ることはある。たとえば、中国の違法調
査船に問うことだ。

「ここは日本の海だが、貴艦はその事実を承知か」「貴艦が行っているのは資源探査活
動か」「資源探査活動は国際海洋法違反であることを承知か」などと、是非、中国の船に
質してほしい。軍艦が尋ねるのだ。それだけでも多少の抑止にはなるだろう。自衛隊を縛
る現行法は馬鹿々々しい限りのものが多いが、質問するだけなら、その馬鹿々々しい法
にも抵触はしない。おおよどに頑張れと声援を送りながらさらに北上した。

16時38分、平湖が見えた。石油と天然ガスを上海に送り、この井戸一本で上海の家庭の
エネルギー需要を賄っているといわれる平湖石油・天然ガス田のプラットホームは3階建
だ。オイル・リグの上にはヘリポートがある。人員、食料、水など全ての運搬に使われる
のであろう。3階の煙突から炎が出ているのは、余剰の天然ガスを燃やしているのだ。少
し離れたところにオレンジ色の支援船濱海(ビンハイ)がいる。平湖のプラットホームで
は、数百人が働いていると専門家は推測するが、建物の中の様子はわからない。P3Cが
近づいても、特別の動きは見られず、数人の作業服の男たちがこちらを見上げる姿が確
認されただけだ。


最終段階の「春暁」開発

16時53分、春暁石油天然ガス田群上空に到達。平湖と異なり、春暁は4つのガス田、春
暁、天外天、残雪、断橋からなる。見えてきたのは、天外天石油・ガス田だ。大小2つのプ
ラットホーム、小さいほうは掘削井戸用、大きいほうは掘り出した資源を水と油に分離す
る処理施設用だろう。

プラットホームにはクレーン船が横づけにされ、350トンクラスの小振りの船が3隻いた。9
月末に春暁ガス田群を共同開発してきた英国・オランダ系のメジャー、シェル石油企業と
米国のユノカル石油企業が事業から撤退し、天外天の工事も中断されていた。クレーン
船が姿をみせたのは2か月半振りだそうだ。クレーン船はパイプを打ち込むための船で、
この船の再登場は、いよいよ中国が国際メジャーの力を借りずに自力で採掘及び処理
施設を建造するということだ。

「98年に操業を開始した平湖も、当初は米国系メジャーのテキサコが合併を組んでいま
した。結局、途中で解約しましたが、中国はその後、自力でやり遂げています。天外天で
も中国は自力でやり遂げるでしょう」と平松教授は語る。

天外天の施設は平湖より遙かに巨大で、春暁、残雪、断橋の各石油ガス田の中枢機能
を果たすと思われる。各ガス田の資源がここで処理され、上海や寧波に送られる。寧波
には中国海軍の東海艦隊司令部がある。「日本の朝野が悔やんでも、どうしようもない」
という中国側の嘲りにも似た言葉が否応なく浮かんで来る。中国圧倒的優位の海の、こ
れが現実である。

17時00分。春暁確認。人影はない。ただ沈黙のうちに、春暁は開発の始まりを待つだけ
だ、準備は整っていると自信満々に告げているかのようだった。

17時05分。幾隻もの漁船が姿を現した。日本のEEZ内で漁をする中国のトロール漁船は
優に100隻。日本の漁船は1隻もいない。中国の漁船のみが漁業資源を持っていく。漁業
からみても、東シナ海はまさに中国の海になり果てている。

17時10分。ラムフォーム・ビクトリー号を確認。日本政府が雇ったノルウェーの3次元調
査船だ。黄色と赤に塗り分けられた船体はひと際目立つ。船尾の幅は約80メートル。目
視出来るだけでそこから12本のロープが出ていて、測量機器を引っ張っていた。船尾か
らロープにつながれた測量用機器が広く長く扇形に広がり、整った波を海面に立ててい
る。中国船が調査の邪魔をしないように、8隻の日本の船が同号を遠まきにして護衛して
いた。

中国が資源輸送用のパイプラインを建設し始めたいま、日本はようやく資源調査を行って
いる。この落差は大きく、まさに悔やみようがない。しかし、国際法も国際社会の常識も
日本の立場を支持している。勝負はこれからだ。政治力を磨き、自衛隊のプレゼンスを最
大限に活用し、国民のために日本の海洋権益を守ることを諦めてはならない。

18時03分。P3Cは那覇空港に着陸。のどかな沖縄の風景が広がる。こののどかさ、平和
な佇まいを護るためにこそ、強い政治の決意と、それを支える十分な防衛力が必要だと
痛感したフライトだった。
(以下次号)




(10)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2005/01/post_319.html

特集 「 緊迫の海域『尖閣諸島』を見た! 」(後編)
ikeda 19:36 コメントする カテゴリー:領土・領海・ガス田 

『週刊新潮』 '05年1月13日号
日本ルネッサンス[拡大版] 第148回



2004年暮れに東シナ海上空を飛んだ。眼下に広がる日中摩擦の海の現状を視て感じた
ことは、中国が主張している大陸棚説の、日中双方にとって相反する意味での死活的重
要性だった。

中国は、中国の大陸棚は沖縄トラフまで続いていて海も海底資源も尖閣諸島も、そこま
での全てが中国のものだと主張する。

地図を広げると中国の意図が手に取るように見える。日本列島は、北海道から東京、東
京から鹿児島までが各々約1,000キロ。鹿児島から南西諸島の最西端、与那国島まで
が、これまた、約1,000キロだ。

南西諸島は東から順に大隅、吐?喇(とから)、奄美、沖縄、先島(さきしま)の諸群島から
成る。その先の手が届きそうなところに台湾がある。

南西諸島と台湾をつなぐ1,000キロを超える距離は、中国の海岸線の実に3分の2の前方
を塞ぐ形に横たわっている。1987年に海洋国家であると自己定義し、猛烈に海洋進出を
図ってきた中国は、海洋に出る場合、3分の2は必ず日本の列島線を通らなければならな
い。地政学上、これ以上ないほどの重要な位置を日本と台湾が占めている。中国が海洋
国家として自在に海に進出するには、まず台湾の領有が死活的に必要であり、日本の南
西諸島海域の実効支配が欠かせない。その国家目標を、論理的に支えるのが大陸棚説
だ。

しかし、中国側の主張は国際法に適うものではない。国連海洋法は、一国の大陸棚が途
切れずに続いている場合、その国に350海里(560キロ)の排他的経済水域を認めている
が、複数の国が同じ大陸棚に存在する場合、海域を2等分するのが国際常識である。

そこで問題は、中国の主張のように、本当に大陸棚は沖縄の東側の沖縄トラフで切れて
いて、沖縄を含む南西諸島は中国とは全く別の大陸棚上に位置しているのかである。琉
球大学理学部物質地球科学科の木村政昭教授らは、約10年にわたって共同研究を行
なった。人工地震探査及び有人、無人の潜水調査を重ねてきた。その結果が10年前『東
シナ海と沖縄トラフの地質構造発達史』という論文にまとめられた。結論は「沖縄トラフに
は海洋性地殻はない」、つまり、大陸棚は途切れずに、南西諸島のずっと先まで続いて
いるというものだ。日中両国は同一の大陸棚上に位置しているのである。東シナ海は全
て中国のものという主張は完全に間違いで、日本が主張する“中間線”論理が正しいの
である。

海洋調査で遅れた日本にとって木村教授らの合同調査結果は天佑に等しい。日本政府
は同教授らの調査をさらに深め、補強すべき点があればそのための調査研究に予算を
割き、日本の立場を堅固なものにしていくべきだ。

大陸棚は沖縄の手前で途切れているのではないという科学的調査結果を中国は無視し
て、南西諸島周辺も中国の海であるかのように振舞いつづける。昨年11月に中国の漢
級原子力潜水艦が南西諸島の宮古島と多良間島の間を通り抜け、領海を侵犯したこと
は記憶に新しい。旧ソ連の時代から日本の領海を潜水艦が潜ったまま通過したのは恐
らくはじめてだ。前代未聞の主権侵害事件を中国側は未だに謝罪していない。小泉純一
郎首相がチリでの胡錦濤国家主席との会談で領海侵犯の再発防止を求めたとき、胡主
席は答えずに「大局に立って解決すべきだ」と述べた。ラオスでは中国側の要請で会った
にもかかわらず、温家宝首相が日中戦争での死者の数を知っているかなどと烈しい言葉
で小泉首相を難詰した。

日本が領海侵犯の非を追及すれば、中国は数倍する勢いで歴史カードを切ってくる。一
方で、海洋進出は着々と果たすのだ。


狙いは横須賀の米空母

中国の狙いはまず台湾領有、次に日本の南西諸島周辺海域の実効的支配の確立だ。
東シナ海に集中していた違法調査活動が、今や南西諸島を超えた日本の太平洋側、沖
ノ鳥島付近にまで広がっているのもその所為だ。同島周辺の海洋調査は2004年は1月9
日に始まり、2月、3月、5月、7月と継続した。台風の多発した夏から秋にかけて中止され
たが12月にまたもや調査船が姿を見せた。全て日本の排他的経済水域内での国連海
洋法違反行為だ。

中国の調査済み海域は東シナ海、それにフィリピン海と太平洋が接する海域だ。後者は
南大東島から沖ノ鳥島の位置する北緯20度あたりまで南下した海域と言ってよい。

いずれも台湾有事の際に米軍の空母が動く海域だ。台湾支援のため、米軍はまず、横
須賀から空母を派遣するだろう。その場合、米空母は鹿児島の南の大隅海峡などを通っ
て東シナ海に入ろうとするだろう。

グアムからも空母の派遣が考えられる。台湾の北部或いは南部をまわり込むと思うが、
いずれの場合も米空母は沖ノ鳥島周辺を通過する。グアム島を基点にして台湾の北部と
南部を結ぶ三角形を描けば、中国の船が調査を継続してきた海域とほぼピッタリ重なる
のだ。

つまり、中国の調査船や潜水艦の動きが集中してきたこの2つの海域は、台湾有事の際
の米空母の通り道なのだ。潮流、温度、塩分濃度、海底の形状などを調査したのは、空
母を阻止するための潜水艦の配備を考えてのことだと見られている。

中国が台湾領有を狙いながら手を出せない理由は2つ、国際社会の目と米軍の力であ
る。

前者について中国は巧みな外交を展開してきた。具体的問題をとらえて北京か台湾かの
選択を迫るのである。たとえば、2004年7月にシンガポールのリー・シェンロン氏は首相
就任を前に“個人的”“非公式”に台湾を訪れた。すると、間髪を容れず北京政府は「重
大な結果を招く」と容赦ない批判を展開したのだ。

リー・クアンユー元首相の子息で二世議員のシェンロン氏は萎縮し、同年8月の首相就
任演説で「台湾海峡での厄災はアジアの経済成長を狂わせる可能性がある」と述べ、台
湾の独立を支持しないと言明した。

中国は個々の事例を見逃すことなく台湾を国際的孤立に追い込み、軍事行動の場合の
国際的非難を事前に封じ込めようとする。

だが、中国にとってより深刻な問題は後者である。96年の台湾総統選挙のとき、中国は
台湾海峡にミサイルを撃ち込んで李登輝氏の当選を阻止しようとした。米空母2隻が台湾
周辺海域に近づいたとき、中国側は退却した。かなわない相手には引き下がる。力の差
を冷静に計算出来るのだ。だからこそ、国際世論には屈しなくとも、強大な米国の軍事力
には屈服するのだ。中国の計算はあくまでも現実的かつ冷徹である。


台湾有事と日本

その米空母が東シナ海に展開すれば、中国は敵ではなく、台湾奪取も不可能になる。反
対に米空母の到着以前に台湾を制圧出来れば、米国も手を出しにくくなり、中国の台湾
領有の目論見は成功に近づく。そのために、東シナ海及び、グアムから台湾に通ずる三
角海域に潜水艦を潜航させれば空母の動きは封じられ、かなりの時間稼ぎになる。

昨年、中国の漢級クラスの潜水艦の航行は日本の領海で容易に捕捉された。だが、中
国にはロシアから購入した非常に音の静かなキロ級潜水艦もある。潜水艦の専門家は、
キロ級潜水艦の探知は難しく、「1キロ程の距離まで近づかなければ掴めないような代
物」だと語った。海中の1キロといえばもうぶつかっているような感じのする近さだそうだ。
中国は現在潜水艦60隻余りを保有しており、その内キロ級は4隻である。2007年までに
これを12隻にふやすことも決定済みだ。

捕捉し難い潜水艦は空母にとって大きな脅威だ。空からの攻撃には手厚く護られており
非常に強い空母も海中からの攻撃には弱いという。発見されにくい潜水艦からミサイル
が発射され胴体に命中すればどうなるか。米海軍の主力は大きく損傷しかねない。

建造して運営出来るまでの装備を整えるのに1隻につき、1兆円の予算がいると言われる
空母を易々と脅威に晒すことは、米軍はしないはずだ。空母は危険海域には近づかない
のだ。

こうしてみると、中国の一連の海洋調査が、日本の海洋資源と共に、台湾有事のときの
米空母牽制を狙った動きであることが見えてくる。このことは、日本にも死活的な意味を
持つ。

中国が台湾を制圧すれば台湾と中国大陸の間の台湾海峡も、台湾とフィリピンを隔てる
バシー海峡も、中国の実質的支配下に入る。日本は石油のほぼ全量を中東からの輸入
に頼る。石油輸入に必要な台湾、バシー両海峡に跨がるシーレーンは日本の生命線な
のだ。それらを中国に支配されかねない。加えて、台湾とは目と鼻の先にある先島諸島
や沖縄諸島、さらに尖閣諸島も中国の脅威に正面から晒される。このような緊張に、日
本は耐えられるだろうか。

台湾制圧に関係なく、中国は予見し得る将来、日本に対して民族主義を旗印とするより
強固な政策をとると予測するのは防衛大学校国際関係学科の村井友秀教授である。同
教授は、中国はソ連のような共産主義を基盤として成立した国家ではなく、“抗日”という
言葉に凝縮される反日民族主義を立国の基盤とするからだと説明する。

少々長くなるが、日中戦争に遡る村井教授の説明はざっと以下のとおりだ。

中国大陸で日本軍が戦った相手は?介石の国民党軍だった。上海、南京、武漢と続く全
ての戦いに日本軍は勝ち進んだ。日本軍が毛沢東らの共産党軍と戦わなかったのは、
彼らが国民党軍に敗れて内陸深く逃れていたからだ。日本との戦いの前の国共内戦で
は、共産党軍は国民党軍に敗退し続け勢力は30万から3万に激減した。前進してきた日
本軍が直面したのは国民党軍で、彼らは悉く日本軍に敗れた。

にもかかわらず日本が中国で敗退したのは太平洋で敗れたからだ。

国民党の?介石は「安内攘外」、内を安んじて後に外を撃つ、つまり、共産党を先に叩い
てその後に日本軍と戦かう戦術をとった。中国の大衆には納得出来ないことだっただろ
う。共産党の主張する抗日民族統一戦線と較べると、民族主義的ではないと映る。村井
教授が語った。

「蒋介石の言葉に、共産主義は内臓の病い、日本軍は皮膚の病いというのがあります。
皮膚の病いでは人間は死なないが内臓の病いでは死ぬ。だからより大きな脅威である
共産主義勢力を日本軍より先に叩くという論法です。しかし、中国の一般大衆はそんな
国民党に嫌気を覚えて、共産党軍に加担しました。わずか3万人に減った勢力が日中戦
争の終わり近くには300万人に、国共内戦時には500万人に急増したのです」

敗退した国民党軍は台湾へ逃れた。残った共産党軍が政権を樹立したが、彼らの政権
は共産主義イデオロギーによってではなく、抗日に凝縮される民族主義によってもたらさ
れたのだ。だからこそ、ソ連崩壊にも中国は影響を受けなかったのだ。

「しかし、実は中国共産党の民族主義は極めてバーチャルだった。民族主義の実績なし
に、民族主義政権への期待で誕生したのですから。そこで、中国共産党は政権奪取後に
本当の民族主義政権になろうとしたのです」と村井教授。

それは奪われた領土を取り戻すことだった。人民解放軍を投入して東トルキスタン共和
国を潰減させ、新疆ウイグル自治区として中国に編入した。チベットも武力で併合した。チ
ベットへの漢民族の大規模移住を実行して、チベットの事実上の消滅を図ってきた。


日本が取るべき道

「一連の軍事行動の結果、現代中国は漢民族としては歴史上最大規模の領土を実現し
たのです。歴史上最大の領土を誇ったのはモンゴル人による元王朝、次が満州人の清
王朝です。3番目に大きなのが漢民族の現政権の領土です。中国共産党は常にこのこと
を共産党の業績として国民に誇ってきました」と村井教授。

現代中国の国家基盤は民族主義で、その原点は日中戦争にあるということだ。そう認識
すれば、中国が常に日本を悪者にし続ける必然性も見えてくる。日中関係に問題がなく
「全く平和になる」ことはないであろうと理解出来る。特に今年中国は「ファシズム勝利60
周年」を祝う予定だ。日本への歴史カードが最も先鋭的に使われかねない年だ。このよう
な年に、日本にとってさらに必要なのは、中国との摩擦や緊張は事実によってよりも政治
によって作られるものであり、現在の中国政府との関係においては緊張と摩擦の存在は
特別なものではなく、常態であると覚悟することだ。そのうえで、中国の戦略に動揺したり
惑わされたりしないためにも、全てに原則を踏まえてしっかりしなければならない。

東シナ海について言えば、日々行うべきことと大目標の両方を見失ってはならない。前者
は東シナ海と太平洋側での中国の違法採掘に、断固として抗議することだ。海上自衛隊
の艦船をフルに活用し、旧式の航空自衛隊のF4戦闘機を早急に最新鋭機に置きかえ、
国家意思を形にして見せることだ。

そして大目標として、台湾有事を引き起こさせないために日米共同で台湾の安全を守る
努力をせよ。同時に中国の主張する大陸棚説の誤りを明確に指摘し続け、日本側の主
張の正しさを2009年7月までに科学的資料で裏づけ国連に報告することだ。それには、
木村教授らの海底地質構造調査を国家的プロジェクトとして支援していくのがよい。










(11)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2004/11/post_169.html

 単なる領海侵犯ではない 
太平洋からの侵入が証明する中国の狙いは米空母の阻止 
ikeda 14:35 カテゴリー:領土・領海・ガス田 

『週刊ダイヤモンド』    2004年11月27日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 569


発見され追尾され、原子力潜水艦が中国に戻ったところまで確認されて初めて、中国側
が謝罪した。武大偉(ぶだいい)外務次官は11月16日、阿南惟茂(あなみこれしげ)駐中
国大使を中国外務省に招き、口頭で中国海軍所属の原子力潜水艦が日本の領海を侵
犯したことについて、「技術的原因から日本領海に誤って入った」として「遺憾の意」を伝
えたそうだ。事件発生から六日後である。

中国外務省の章啓月(しようけいげつ)副報道局長も同日の記者会見で武外務次官の
謝罪を認めたが、中国外務省のウェブサイトに載せた章副報道局長の記者会見録から
は、日本への遺憾の意の表明部分は削除されている。国内向けには日本への謝罪を知
らせず、中国は日本に対して常に正しいという姿勢を崩さないのだ。

武外務次官の「技術的原因から日本領海に誤って入った」との説明はまったく信用でき
ない。日本側が今回の原子力潜水艦領海侵犯事件で注目すべきは、原子力潜水艦が
太平洋側から日本の領海に入ってきた点だ。長年、中国海軍の動きを分析してきた杏林
大学の平松茂雄教授は、領海侵犯は重大な事件ではあるが、問題はそれよりはるかに
大きいと語る。

「中国の原子力潜水艦が通ったルートを見ると、先島(さきしま)諸島のあたりから北上
し、石垣島から尖閣諸島の東側にかけてさらに北上、海上自衛隊の護衛艦とP3Cによる
追尾を受けてたびたび蛇行しながら、中国・青島の軍港に入っています。われわれは、
中国の原子力潜水艦が太平洋側にいたことにこそまず注目しなければならないのです。
中国の軍港からいずれかのルートで太平洋側に出て、情報収集などの任務を果たして、
中国に戻る途中、つまり復路で見つかったと考えるべきです。往路ですでに日本の排他
的経済水域や領海を通った可能性は否定できません。言い換えれば、中国はこれまで
幾度も日本の領海を侵犯してきたと考えざるをえないのです」

日本側の追尾に対して、中国の原子力潜水艦は東シナ海の、場所によっては水深60メ
ートルという浅い海を、海底に張りつくような状態で潜航し続けた。速度を上げたり落とし
たり、海底の起状に沿って深度を調節し、一度も浮上することなく逃げ切っている。この
状態を見れば、「技術的困難」という弁明は白々しい。

問題はその先である。中国の狙いは明らかに米国の空母の阻止にある。1996年、台湾
総統選挙に李登輝氏が立候補し、中国は台湾海峡にミサイルを撃ち込んだ。米国は空
母2隻を同海域に派遣、米空母が同海域に接近したとき、中国側はさっと退いた。退かざ
るをえなかった。

「あの屈辱を中国は忘れていないはずです」と平松教授は強調する。
台湾を抑え、日本の主張を無視して、中国の大陸棚は沖縄の直前まで続いているから東
シナ海はほぼ全域中国の海だ、との主張を押し通すには、中国はなんとしてでも米国の
力をこの海域で減殺していかなければならない。米国の力は強大な軍事力、就中(なか
んずく)、空母によって構成される。その空母の動きを封ずる最も効果的な方法は、原子
力潜水艦でなくとも、普通の潜水艦を配備することだ。

潜水艦を一隻でも配備すれば、そこから発射可能なミサイルによって空母の横腹や中枢
機能に被害が生じかねない。いかにその潜水艦が旧式のものであっても、脅威は深刻で
ある。

中国にとって潜水艦能力を高めることは、比較的安価な予算で、世界最強の米国海軍と
互角に戦う方法なのだ。今回の領海侵犯は、単なる日本への領海侵犯ではない。大きな
戦略的思考のなかで分析しなければならない課題だ。それが日本は中国への警戒を解
かず、日本の防衛力の充実を図り、米国および台湾との連携をさらに強めていかなけれ
ばならないゆえんだ。









(12)
http://blog.yoshiko-sakurai.jp/archives/2004/10/post_160.html

「 中国の意図を甘く見るな 」
ikeda 17:15 カテゴリー:領土・領海・ガス田 

『週刊新潮』 2004年10月28日号
日本ルネッサンス 第138回



10月17日、フジテレビの「報道2001」に出演した中川昭一経済産業大臣が「東シナ海の
日本の排他的経済水域に中国が鉱区を設定したとの情報がある」と語った。
中国海洋石油開発公社(CNOOC、シーノック)のホームページにはもう2年以上も前から
中国政府が開発を認めた鉱区として二桁の数の鉱区が掲載されている。いずれも日本
側が主張する日中中間線を越えて完全に日本側に入り込んだ位置だ。

中国はすでに東シナ海の日中の中間線のすぐ脇、中国側に5キロばかり入ったところに
天然ガス・石油の採掘井戸を掘り、パイプラインの敷設工事まで行った。中国側に入って
いるからといって、海底に埋蔵された資源は日本の分までもその井戸から吸い取られて
しまう。日本の抗議を無視して中国側は工事を進めてきたが、堂々と日本側海域に井戸
を掘る計画も作成していたのだ。

だが、CNOOCのホームページ上の情報は中国の真の意図に較べれば非常に大人しい
内容だ。CNOOCが米国証券取引所に提出した資料には、より広く、より深く日本側に入
ったところに鉱区が設置され、尖閣諸島をとり巻く形に位置している。尖閣諸島は無論、
東シナ海はおよそ全て中国の海だと主張する内容だ。中国が強硬な姿勢と力で、日本
の資源を奪うことは予想されていたと、杏林大学の平松茂雄教授は指摘する。

「中国は今から9年前の95年12月初頭から96年2月中旬まで約80日間、日本の排他的
経済水域に侵入し、ボーリング調査を行ったのです。掘削地点は北緯28度19分、東経
124度56分。中間線から570メートル日本側に入ったまぎれもない日本の海です。彼ら
は、日本の海上保安庁が探査を中止するよう繰り返し警告したのを全く無視してボーリン
グ調査を継続しました。

その後も中国は継続して日本の海深くに入り込み、資源調査を完了させた。中国の調査
は21世紀のエネルギーと軍事戦略のためですから、いつか日本の海域で天然資源を取
るための採掘井戸を立ち上げることは、当然考えておかなければならないことだったと思
います」

中国の行動は他人の庭に入ってきて、その家の主の抗議を無視して庭を掘り返すに等し
い。中国側は後に、日本の排他的経済水域からさらに領海に入って調査を行ったが、そ
れは、他人の家の玄関の鍵を開けて中に侵入するに等しい暴挙である。

95年のボーリング調査に関しては、海上保安庁が中国の石油掘削船勘探3号からガス
の燃焼炎らしいものが噴き出ているのを確認した。彼らは石油の試掘に成功したのだ。

その地点は、今、焦点となっている春暁の真南にある。95年の試掘調査とその成功は、
春暁の天然ガス・石油採掘井戸と直結しているのだ。春暁の役割は95年に確認した日
本側の埋蔵資源の吸い取りに他ならない。









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